2011/5/23

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏財務相会合、ポルトガル支援を承認

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は16日にブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に直面するポルトガルにEUが国際通貨基金(IMF)と共同で金融支援を実施することを承認した。支援額は総額780億ユーロ。20日にはIMF も同支援を承認 […]

ユーロ圏17カ国は16日にブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に直面するポルトガルにEUが国際通貨基金(IMF)と共同で金融支援を実施することを承認した。支援額は総額780億ユーロ。20日にはIMF も同支援を承認した。EUとIMFによる金融支援は、ユーロ圏でギリシャ、アイルランドに次ぐ3カ国目となる。

\

支援期間は3年。EUが520億ユーロ、IMFが260億ユーロを融資する。EUはユーロ参加国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」と、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達する600億ユーロの欧州金融安定メカニズム(EFSM)が各260億ユーロを拠出する。

\

融資にはポルトガル政府が国営企業民営化による歳入増など追加財政再建策を講じることや、ポルトガル国債を保有する民間投資家に国債の継続保持を求めることなどが条件となる。国債保持は、フィンランド議会がポルトガル支援承認の条件として求めたもの。共同声明によると、ポルトガル政府は投資家に「自発的な」国債保持を呼びかけることに同意したという。

\

ポルトガルにとっては、約50億ユーロの国債が償還期限を迎える6月15日までの融資実行が必要。6月5日に実施される総選挙を経て発足する新政権が、迅速に融資条件に同意するかどうかが今後の焦点となる。

\

同日の理事会では、信用不安が拡大しているギリシャをめぐり、第2弾の金融支援や、すでに決めた1,100億ユーロの融資の返済条件緩和についても話し合われたが、各国の見解の相違を背景に突っ込んだ協議は行われず、具体的な動きはなかった。

\

一方、理事会は同日、欧州中央銀行(ECB)の次期総裁にイタリア中銀総裁のマリオ・ドラギ氏が就任することを全会一致で承認した。ドラギ氏は6月のEU首脳会議での承認を経て、11月から第3代目のECB総裁に就任する。

\