2011/5/23

競争法

蘭DSMと中国中化の合弁認可

この記事の要約

欧州委員会は19日、オランダの製薬大手DSMと中国国有コングロマリット中国中化集団(シノケム)が抗感染症薬事業で合弁会社を設立する計画を認可したと発表した。DSMとシノケムの合弁事業が市場に及ぼす影響を分析した結果、同計 […]

欧州委員会は19日、オランダの製薬大手DSMと中国国有コングロマリット中国中化集団(シノケム)が抗感染症薬事業で合弁会社を設立する計画を認可したと発表した。DSMとシノケムの合弁事業が市場に及ぼす影響を分析した結果、同計画を認めても欧州経済領域(EEA)における抗生物質や感染症治療薬の分野で著しく競争が阻害される恐れはないと判断した。

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DSMは医薬品のほか栄養剤、機能性食品素材、化学製品などの製造・販売を手掛けるグローバル企業。一方、シノケムは化学、農業、エネルギー、不動産、金融などの事業部門を持つ。DSMは高い成長が見込める中国市場でシェア拡大を図るため、昨年12月に抗感染症薬事業の50%をシノケムに売却することで合意。その後、香港に折半出資の合弁会社を設立する計画を打ち出し、4月8日付で欧州委に認可を申請していた。

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欧州委の調査では、シノケムが独立した企業として活動しているのか、それとも中国政府の管理下で同業他社と事業分野などの調整を行っているのか、この点が焦点の1つとなった。市場分析では結論が出なかったが、欧州委は抗感染症薬事業を展開するすべての政府系企業のシェアを合わせても全体からみればごく一部にすぎず、仮にシノケムとDSMの合弁会社がこれらの企業と統合された場合でも欧州市場への影響は限定的と判断。合弁計画を認めても公正な競争が維持されると結論づけた。

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