2011/5/30

総合 –EUウオッチャー

EUが対シリア追加制裁、大統領を対象に

この記事の要約

EUは23日に開いた外相理事会で、シリアのバッシャール・アサド大統領を制裁対象とする追加措置の発動を決定し、大統領ほか政府高官9人のEU域内への渡航禁止と域内資産の凍結を24日付けで実施した。EUはすでに、同国に対する武 […]

EUは23日に開いた外相理事会で、シリアのバッシャール・アサド大統領を制裁対象とする追加措置の発動を決定し、大統領ほか政府高官9人のEU域内への渡航禁止と域内資産の凍結を24日付けで実施した。EUはすでに、同国に対する武器禁輸と政権幹部13人に対する同様の制裁を行っているが、シリア国内で続く反政府デモ参加者に対する政府の暴力的取り締まりを断念させるため追加措置に踏み切った。米国も今月18日、アサド大統領を対象に加える追加制裁を発動している。

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シリアのワリド・ムアレム外相は今回の決定について、同国のテレビインタビューで「我が国の利益が損なわれるのは確かだが、EUも同様の不利益を被る。このような態度に対し、シリアが座して黙することはない」と強硬な姿勢を示している。英仏などは前回の制裁実施の際にも、アサド大統領を対象に含めるべきとしていた。しかし、ドイツやキプロスなどは段階的な制裁が有効と主張。大統領を対象から外すことでシリアとの協議のパイプを維持し、柔軟な対応への余地を残すのが得策との意見だった。

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シリアでは、今年3月から反政府民主化デモが続発。政治犯の釈放や非常事態解除を求めるデモも各地で発生し、これまでに死亡した市民の数は1,000人近くに上るとも伝えられる。人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルやヒューマンライツ・ウォッチは国連安全保障理事会に対し、アサド大統領に暴力の停止を要求する決議案を採択するよう訴えている。

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