2011/6/6

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏、ギリシャへの第2次支援で合意へ

この記事の要約

ユーロ圏財務相会合の議長国であるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相は3日、ユーロ圏各国が財政危機に直面するギリシャへの第2次金融支援で合意するとの見通しを示した。20日のユーロ圏財務相会合で同支援の詳細を詰める見込みだ […]

ユーロ圏財務相会合の議長国であるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相は3日、ユーロ圏各国が財政危機に直面するギリシャへの第2次金融支援で合意するとの見通しを示した。20日のユーロ圏財務相会合で同支援の詳細を詰める見込みだ。

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ギリシャは昨年5月、EUと国際通貨基金(IMF)から3年間で総額1,100億ユーロの緊急協調融資を受けることが決まった。しかし、同支援の条件として約束した財政赤字削減が景気後退による税収減などで進んでいないことから信用不安が増幅。国債の利回りが高水準で推移している。同国は2012年に270億ユーロ、13年に380億ユーロの国債償還を控えているが、国債の新規発行よる償還資金調達は事実上不可能な状況で、このままではデフォルト(債務不履行)に陥りかねない。このため、EUとIMFによる第2次支援が避けられないとの見方が強まっていた。

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EU筋がロイター通信に語ったところによると、ユーロ圏各国は1日夜に開いた副財務相による協議で、2014年半ばまでの3年間を対象期間とする第2次支援の実施で基本合意。支援総額は600億ユーロに上る見通しだ。ギリシャ有力紙カシメリニの報道では、支援総額は850億ユーロに上り、うち300~400億ユーロをEUとIMFが負担、残りを国営企業の民営化や民間の国債保有者によるロールオーバー(乗り換え)で賄うという。

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ユンケル首相はギリシャのパパンドレウ首相との臨時会談後の記者会見で「ユーロ圏諸国はギリシャへの新たな支援に厳しい条件付きで合意すると見込んでいる」とした上で、「条件には民間投資家の自主的な関与が含まれるだろう」と述べ、民間のギリシャ国債保有者に一定の負担を迫る構えを示した。

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一方、ギリシャへの第1次支援に基づく第5弾融資(120億ユーロ)実行の可否を判断する欧州委員会とIMF、欧州中央銀行(ECB)の代表による合同調査団は3日、ギリシャが追加財政再建策の実施を決めることを条件に、7月にも実行する用意があることを明らかにした。

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ギリシャ政府は追加融資を受けるため、2012~15年を対象とする新たな赤字削減策を実施する計画。国営企業の民営化、公務員削減の拡大、不動産税引き上げなどが含まれる。民営化により2015年までに500億ユーロを調達する計画に関しては、確実に実施するため、これを管理する独立機関の創設を盛り込んだ。

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EUとIMFは同削減策がギリシャ議会で承認されるのを待って第5弾融資を実行するが、議会での審議は国民の強い反発を受けて難航することも予想される。

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