2011/6/13

総合 –EUウオッチャー

欧州委がクロアチア加盟交渉完了を勧告、2013年7月に正式加盟へ

この記事の要約

欧州委員会は10日、EUとクロアチアの加盟交渉完了を加盟国に勧告した。順調に行けば23、24日のEU首脳会議で加盟を承認する。クロアチアは各国による批准を経て、2013年7月に正式にEU加盟国となり、EUは28カ国に拡大 […]

欧州委員会は10日、EUとクロアチアの加盟交渉完了を加盟国に勧告した。順調に行けば23、24日のEU首脳会議で加盟を承認する。クロアチアは各国による批准を経て、2013年7月に正式にEU加盟国となり、EUは28カ国に拡大する見通しだ。

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EU新規加盟は2007年のルーマニア、ブルガリア以来。旧ユーゴ諸国では、04年に加盟したスロベニアに続く2カ国目のEU入りとなる。

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クロアチアは2005年12月にEUとの加盟交渉を開始した。同時に開始したトルコと比べて順調なベースで交渉を消化し、これまでに35に上る交渉項目のうち31項目が完了。残るのは「司法・基本的人権」、「競争政策」など4項目だけとなっている。

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欧州委は同4項目でもクロアチアがEUの基準を満たしたと判断。現加盟国に加盟交渉完了およびクロアチアの加盟を提案した。バローゾ委員長は声明で「本日はクロアチアとEUにとって歴史的な日だ」と述べた。

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加盟交渉完了には、現加盟国による全会一致での承認が必要となる。残る交渉項目で最大の焦点となっているのは「司法・基本的人権」。同国ではびこっている汚職、組織犯罪の対策強化が交渉完了の前提となっている。

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EUではルーマニアとブルガリアが同分野で基準を完全に満たしていないにもかかわらず加盟を容認し、今も両国で問題が解消されていないという苦い経験があることから、クロアチアとの交渉では厳しい姿勢で臨んできた。5月に開いた外相理事会では、EU議長国ハンガリーなど多くの国が交渉完了を支持したが、オランダなど一部の国が時期尚早として反対した経緯がある。

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欧州委はクロアチアの改革が進展し、基準を満たしたと認定したが、オランダなどがこれを受け入れ、交渉完了に同意するかどうか注目される。

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EUでは現在、クロアチアのほかトルコ、マケドニア、モンテネグロ、アイスランドが加盟候補国に認定され、トルコとアイスランドがすでに加盟交渉を行っている。さらにセルビアが、先ごろボスニア内戦時の戦犯として旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)から訴追されているムラジッチ被告(元セルビア軍司令官)の身柄を引き渡したことで、EU加盟の大きな障害が取り除かれ、加盟候補国認定に向けて大きく前進している。

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バローゾ委員長は「クロアチアの前進が、EU加盟を目指す他の国々に刺激を与え、改革努力を活性化させるだろう」と語った。

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