ポルトガルの総選挙で第1党となり、次期首相就任が確実となった中道右派・社会民主党のパソス・コエリョ党首は6日、現政権がEU、国際通貨基金(IMF)と緊急金融支援の条件として合意した財政再建策を新政権が実施する意向を表明した。これにより財政再建をめぐる不透明感は払しょくされ、予定通り緊急融資が実行される見通しとなった。
\5日に実施された総選挙では、最大野党の社会民主党が定数230の議会で105議席を獲得。ソクラテス首相率いる中道左派・社会党の73議席を上回り、第1党に躍進した。同党は24議席を握り第3党となった中道右派・民衆党と連立政権を組む見込みだ。
\財政危機で深刻な信用不安に陥るポルトガルの現政権は5月、EUとIMFから総額780億ユーロの緊急融資を受けることで合意。その条件として、増税や年金・失業手当て給付の削減などによる緊縮策を実施し、2010年に国内総生産(GDP)比9.1%まで膨らんだ財政赤字を11年に5.9%、12年に4.5%まで減らし、13年に3%まで削減してEUの財政基準を満たすことを約束していた。
\コエリョ党首は「ポルトガルとEU、IMFの合意を履行し、市場の信頼を取り戻すため、全力を尽くす」と宣言。新政権が合意を順守して財政再建に取り組むことを言明した。
\ポルトガルでは、政府が3月に提出した追加の赤字削減策が、野党が過半数を占める議会で否決され、ソクラテス首相が辞意を表明。財政再建が宙に浮くことになったことから、信用不安が増幅した。その後に政府はEU、IMFから金融支援を取り付けたが、総選挙で誕生する新政権が支援条件を受け入れるかどうかが焦点となっていた。
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