2011/6/20

総合 –EUウオッチャー

ギリシャ追加支援で独が譲歩、債務再編撤回し「ウィーン方式」に

この記事の要約

ドイツとフランスは17日にベルリンで行った首脳会談で、深刻な財政危機に直面するギリシャへの第2次金融支援について協議し、実施の条件に関して大枠で合意した。ドイツはギリシャ国債を保有する民間銀行などに強制的に負担を迫る債務 […]

ドイツとフランスは17日にベルリンで行った首脳会談で、深刻な財政危機に直面するギリシャへの第2次金融支援について協議し、実施の条件に関して大枠で合意した。ドイツはギリシャ国債を保有する民間銀行などに強制的に負担を迫る債務再編を求めていたが、欧州中央銀行(ECB)の反発を受けて断念。自主的な国債買い替えなどを求める「ウィーン方式」を用いることでフランスと一致した。

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ギリシャは昨年5月、EUと国際通貨基金(IMF)から3年間で総額1,100億ユーロの緊急協調融資を受けることが決まった。しかし、同支援の条件として約束した財政赤字削減が進んでいないことから信用不安が拡大。国債の利回りが高水準で推移している。このため巨額の国債償還資金を国債の新規発行よって調達するのが不可能な状況で、デフォルト(債務不履行)に陥りかねないことから、EUとIMFによる第2次金融支援が浮上している。

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ドイツは当初、第2次支援容認の条件として、民間の国債保有者に償還期限を7年延長させる債務再編を要求。これに対しECBは「事実上のデフォルトに当たり、状況をさらに悪化させる」として反発し、調整の難航が必至な情勢となっていた。

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独メルケル首相は仏サルコジ大統領と会談した後の記者会見で、民間債権者の関与を「自主ベースにする」ことで妥協したことを確認。サルコジ大統領とは民間関与について、2008年のリーマン・ショックをきっかけとした金融危機に際して中東欧諸国への支援に導入された「ウィーン方式」をモデルとすることで一致したことを明らかにした。ドイツが妥協に応じたことで、第2次支援の条件をめぐる協議は大きな障害が取り除かれ、合意に向けて前進した格好となる。

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ギリシャへの支援をめぐっては、EUは当初、19~20日に開かれるユーロ圏財務相会合での合意、23~24日のEU首脳会議での正式決定を目指していた。しかし、欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)が16日、支援の条件となる財政再建策をめぐってギリシャが混乱していることから、決定を7月11日のユーロ圏財務相会合まで先送りする意向を表明。それまでのつなぎとして、第1次支援に基づく第5弾融資(120億ユーロ)の実施を19~20日の会合で決め、7月に実行する方針を打ち出した。

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