2011/7/18

産業・貿易

ワクチン特許延長を容認、欧州裁法務官が判断

この記事の要約

英国の製薬会社メディヴァによるワクチン特許権の延長申請を英特許庁が却下した問題で、欧州司法裁判所(ECJ)は14日、特許の延長は認められるとの法務官見解を発表した。\ メディヴァは1990年に2種類の有効成分を使用した百 […]

英国の製薬会社メディヴァによるワクチン特許権の延長申請を英特許庁が却下した問題で、欧州司法裁判所(ECJ)は14日、特許の延長は認められるとの法務官見解を発表した。

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メディヴァは1990年に2種類の有効成分を使用した百日咳ワクチンの製造で特許を取得。特許は昨年4月に期限を迎えたが、同社は新たな有効成分を加えた5製品について、特許権の存続期間を延長する追加保護証明書(SPC)を特許庁に申請した。これに対して特許庁は、5製品がSPCに関する欧州委員会規則で定める基準を満たしていないとして申請を却下したため、メディヴァは控訴裁判所に不服を申し立てた。控訴裁判所はこのケースに関連する法令の複雑さを考慮し、欧州司法裁判所にこの問題を付託していた。

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法務官は声明で、配合の変更により特許の延長が認められるという制度が先発医薬品メーカーによって濫用されるリスクが存在することを認めたうえで、改良医薬品を市場に投入せざるを得ない状況であれば、メーカーはSPCを申請する権利があるとの見解を示した。

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この問題についての欧州司法裁の判断は今秋に示される。法務官の見解に法的拘束力はないが、欧州司法裁は約8割のケースで法務官の意見に沿った判断を示している。メディヴァの訴えをめぐっては、先発医薬品メーカーが特許製品にわずかに変更を加えることで独占的立場と高価格を維持することにつながるとして、後発医薬品(ジェネリック)メーカーなどから非難の声が挙がっている。

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