2011/8/8

競争法

IBMの競争法違反問題、米仏3社が訴え取り下げ

この記事の要約

米IBMが大型汎用コンピューター(メインフレーム)の分野で市場支配的な地位を乱用した疑いがあるとして、欧州委員会がEU競争法違反で調査に乗り出している問題で、欧州委に調査を要請していた米仏3社が相次いで申し立てを取り下げ […]

米IBMが大型汎用コンピューター(メインフレーム)の分野で市場支配的な地位を乱用した疑いがあるとして、欧州委員会がEU競争法違反で調査に乗り出している問題で、欧州委に調査を要請していた米仏3社が相次いで申し立てを取り下げたことが3日までに明らかになった。

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エミュレーションソフト(特定のコンピューターやOS向けに開発されたプログラムを、異なる環境のコンピューターで使えるようにするソフト)ベンダーの米T3とネオン・エンタープライズソフトウエア、仏テュルボエルキュールの3社は、IBMが大型汎用ハードウエアとOSをセットで販売し、エミュレーション技術のプロバイダーをメインフレーム市場から不当に排除しようとしたとして、2009年1月から昨年6月にかけて、欧州委に競争法違反で調査するよう相次いで申し立てを行っていた。

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IBMが先ごろ規制当局に提出した報告書によると、T3は5月に米裁判所で訴えが棄却されたことを受けて欧州委への申し立てを撤回。ネオン・エンタープライズソフトウエアも、同社のエミュレーションソフト「zPrime」の販売中止と欧州委への訴えを取り下げることに同意した。また、テュルボエルキュールは3日、「ビジネス上の理由」により申し立てを取り下げると発表した。

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欧州委はこれまでのところ、申し立てが撤回されたことに関するコメントを出していないが、3日付の英フィナンシャル・タイムズによると、過去の例では、申し立てが取り下げられた事案は調査が打ち切られるケースが多いという。IBMのメインフレーム事業をめぐっては、抱き合わせ販売の問題のほかに保守サービス分野における反競争的行為の疑いも浮上しており、欧州委はそれぞれの事案について個別に調査を進めている。

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