2011/8/22

総合 –EUウオッチャー

トルコのEU加盟によるリスク懸念=英下院内務委

この記事の要約

英国の下院内務委員会は先ごろ、トルコのEU加盟に伴う影響に関する報告書を発表した。トルコの加盟によって不法移民の流入や組織犯罪の増加などのリスクが懸念される一方で、長期的な視点に立てば、同国が加盟することはEUに利益をも […]

英国の下院内務委員会は先ごろ、トルコのEU加盟に伴う影響に関する報告書を発表した。トルコの加盟によって不法移民の流入や組織犯罪の増加などのリスクが懸念される一方で、長期的な視点に立てば、同国が加盟することはEUに利益をもたらすとの見解を示している。

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報告書は、トルコがシリア、イラン、イラクといった政情不安を抱える国々と国境を接していることに言及し、EU加盟によってこれらの国々から大量の不法移民がトルコを経由してEUに大量に流入する可能性があると指摘。また、トルコの組織犯罪グループによる麻薬取引や人身売買がEU域内で拡大すれば、域内安全保障に重大な脅威となる恐れがあると警戒感を示し、トルコがこれらの脅威を未然に防止するため水際対策をとることをEU加盟の条件とするべきであると主張。また、ルーマニアとブルガリアがEUに加盟した際と同様、トルコに対する労働市場の開放を段階的なものとし、加盟後一定期間は労働者の流入を制限することを提案している。その一方、長期的に見ればトルコの加盟がEUにもたらすメリットはリスクを上回るとして、加盟に前向きな姿勢を見せている。

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トルコは2005年からEUと加盟交渉を行っている。加盟には35の政策分野について一定基準の達成が必要となるが、協議が行われているのは13分野にとどまるなど加盟プロセスは停滞しており、加盟への道のりは険しい。同国の加盟にはフランスやドイツが難色を示す一方、英国は支持を表明している。

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