EU加盟国などが出入国審査を廃止し、旅行者が域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」の見直しについて、欧州委員会がまとめた草案の内容がこのほど明らかになった。加盟国が5日以上にわたって出入国審査を復活させる場合、事前にEUの承認を得ることを義務付ける内容。欧州委は9月に正式提案する見通しだ。
\シェンゲン協定には現在、英国とアイルランド、ルーマニア、ブルガリア、キプロスを除くEU諸国とノルウェー、アイスランド、スイスの計25カ国が参加している。
\人の自由な移動を認める同協定は、欧州統合の象徴となっているが、チュニジアの政変をきっかけに北アフリカ諸国からイタリア、フランスに大量の難民や不法移民が流入していることを受け、両国が見直しを提唱。欧州委は5月初め、ある加盟国が国境での出入国を管理できなくなるような不測の事態が生じた場合に限って、当該国が「セーフガード措置」を発動し、出入国審査を復活できるようにする案を提示し、その詳細を9月に発表する方針を示していた。
\英フィナンシャル・タイムズが入手した草案によると、セーフガード発動の期間は6カ月が上限。当該国は発動後30日ごとに、同措置継続の可否を検証することを求められる。
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