2011/9/12

産業・貿易

GM作物花粉混入のハチミツ、域内販売は事前認可必要=欧州裁

この記事の要約

欧州司法裁判所は6日、遺伝子組換え(GM)作物の花粉が混入したハチミツをEU域内で販売するには事前認可を得なければならないとする判決を言い渡した。EU加盟国の代表で構成する専門委員会は今年2月、未承認GMOの混入を一切認 […]

欧州司法裁判所は6日、遺伝子組換え(GM)作物の花粉が混入したハチミツをEU域内で販売するには事前認可を得なければならないとする判決を言い渡した。EU加盟国の代表で構成する専門委員会は今年2月、未承認GMOの混入を一切認めないこれまでの「ゼロ・トレランス(ゼロ許容)」政策を転換し、混入率が0.1%以下の飼料用原料については域内への輸入を認めるとした欧州委員会の提案を承認していたが、司法裁の判決を機に再びGMOに対する規制が厳格化される可能性がある。

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今回の訴訟は、独バイエルン州に米農業化学大手モンサントが開発したGMトウモロコシ「MON810」の実験圃場ができて以来、ハチミツにMON810の花粉が混入するようになったとして、同州の養蜂農家がGM作物の栽培を認可した州政府を訴えていたもの。司法裁は花の花粉もハチミツの「成分」であり、「意図的か偶発的かにかかわらず、GMトウモロコシの花粉が混入したハチミツはEUが定めるGM食品の認可制度の対象になる」と指摘。そのうえで、実験圃場のGM作物によって周辺の養蜂場のハチミツが「汚染された」と認定し、域内での流通には事前認可が必要と結論づけた。ただし、GM作物由来の花粉が人体に及ぼす影響や、州政府やモンサントの賠償責任には言及していない。

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モンサントの広報担当は、現時点で判決についてコメントすることはできないとしたうえで、「MON810はEUを含む世界各国の規制当局から正式に認可されており、最も長いケースでは15年にわたって商用栽培されている」と強調している。

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