2011/10/3

総合 –EUウオッチャー

財政規律強化、欧州議会が承認

この記事の要約

欧州議会は9月28日の本会議で、EUの財政規律を定めた安定成長協定の改革案を承認した。同案は規律違反国への制裁をスムーズに発動できるようにすることなどを柱とする内容。ギリシャなどの財政危機がユーロの信用を揺るがす事態に発 […]

欧州議会は9月28日の本会議で、EUの財政規律を定めた安定成長協定の改革案を承認した。同案は規律違反国への制裁をスムーズに発動できるようにすることなどを柱とする内容。ギリシャなどの財政危機がユーロの信用を揺るがす事態に発展したことを受け、ユーロを導入してから初の抜本的な協定改定に踏み切る。

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承認された案では、財政赤字がGDP比3%を超えるか、債務残高がGDP比60%を超えた国に対して、GDPの0.2%に相当する額を有利子で積み立てさせ、赤字を是正しなければ積立金をEUが没収する。制裁手続きについては、欧州委が勧告し、ユーロ圏17カ国が人口に応じて票数を割り当てられる特定多数決システムで承認すれば発動される。勧告が受け入れらなかった場合、欧州委は1カ月後に再度勧告を行うことができ、今度は単純多数決で過半数が反対しない限り制裁発動が決まるという「逆多数決」方式が採用される。

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このほか、経常収支などマクロ経済面での不均衡も制裁対象となる。経常収支、民間債務などの指標を組み合わせた「スコアボード」をまとめ、これに基づいて改善が必要と判断した国に「過剰不均衡是正手続き」を発動する。同措置に基づく是正命令に従わなかったユーロ参加国には制裁として、GDPの0.1%に相当する制裁金を科す。

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加盟国は同案を承認済み。新ルールは詳細を詰めた上で、2012年1月から施行される。

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