2011/10/10

総合 –EUウオッチャー

域内銀行の資本増強へ協調、EU財務相会合で合意

この記事の要約

EUは4日にルクセンブルクで開いた財務相会合で、加盟各国が協調して域内銀行の資本増強に取り組む方針で一致した。ギリシャに端を発した信用不安の拡大で、各銀行の損失が増大していることを受けたもの。各国は来月の財務相会合で国内 […]

EUは4日にルクセンブルクで開いた財務相会合で、加盟各国が協調して域内銀行の資本増強に取り組む方針で一致した。ギリシャに端を発した信用不安の拡大で、各銀行の損失が増大していることを受けたもの。各国は来月の財務相会合で国内銀行の資金状況を報告し、17、18日に開く首脳会議で資本増強策について協議する予定だ。

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これを受けて欧州委員会は7日、数日以内に資本増強に関するガイドラインを提示したうえで、各国に欧州銀行監督機構(EBA)と協力して7日以内に資本増強案をまとめるよう指示した。

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EUでは域内銀行の最新ストレステスト(健全性審査)で9行が「不合格」となり、資本増強を求められている。しかし、その他の銀行も保有するギリシャ国債の評価損などで財務が悪化しており、4日にはフランス・ベルギー系大手銀行のデクシアに対し、両国政府が公的支援を実施することを決めた。

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財務相会合に出席した欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)は英フィナンシャル・タイムズ紙に対して「欧州の銀行は財務を強化しなければならない。加盟国の財務相は協調して、早急に行動しなければならないという認識で一致している」と語った。

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一方、前日に開かれたユーロ圏17カ国の財務相会合では、EUと国際通貨基金(IMF)から3年間で総額1,100億ユーロの緊急協調融資を受けることが決まっているギリシャについて、80億ユーロの第6次融資の実施決定を先送りした。EUとIMFの審査が完了していないため。ただ、ギリシャのデフォルト(債務不履行)を避けるため、10月中に融資実施を決める方針を確認した。

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ギリシャは融資の前提となる財政再建が難航しており、政府が2日明らかにしたところによると、今年の財政赤字は当初目標の国内総生産(GDP)比7.6%を上回る8.5%に上る見通し。一方、政府は10月中旬の国債償還までに第6次融資が実行されなければデフォルトに陥るとしていたが、10月中の資金需要は満たされていることを明らかにした。これにより第6次融資がずれ込んでもデフォルトは回避できる見通しだ。

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ユーロ圏財務相は今回の会合で、ギリシャに対する総額1,590億ユーロの第2次支援についても協議し、民間金融機関の負担について再調整することで合意した。

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EUは7月、ギリシャへの第2次支援実施で合意。EUとIMFが1,090億ユーロを追加融資するほか、ギリシャ国債を保有する民間金融機関に自主的に500億ユーロを負担させる方針を打ち出していた。しかし、ギリシャの財政危機が深刻さを増していることから、民間の負担を増大させ、ギリシャの債務負担軽減を図る見通しだ。

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