2011/10/3

産業・貿易

18カ国がエネルギー自由化指令に違反、英仏などに法的手続き

この記事の要約

欧州委員会の報道官は9月29日、域内エネルギー市場の自由化促進を目的とするEUルールを順守していないとして、加盟18カ国に対する法的手続きを開始したことを明らかにした。\ AFP通信によると、法的手続きのうち1件は事業分 […]

欧州委員会の報道官は9月29日、域内エネルギー市場の自由化促進を目的とするEUルールを順守していないとして、加盟18カ国に対する法的手続きを開始したことを明らかにした。

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AFP通信によると、法的手続きのうち1件は事業分離を柱とするガス市場の自由化と、天然ガス輸送網へのアクセス条件に関するもので、18カ国で国内法の整備が遅れている。もう1件は送電網のアクセス条件に関するもので、欧州委は17カ国でEUルールに沿った対応が不十分と判断した。ドイツ、イタリア、ポーランドは法的手続きの対象になっていないのに対し、英国、フランス、スペインは電力・ガスの両分野で自由化促進に向けた取り組みが不十分と認定されたもようだ。

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欧州委のホルツナー報道官は「エネルギー市場で競争を促し、消費者が正当な価格で電気やガスを使用できるようにする必要がある」と指摘。また、代金支払い問題をめぐるロシアの政府系独占ガス企業ガスプロムとウクライナの対立で、欧州向けガス供給に深刻な影響が出た2006年のケースに触れ、エネルギー安全保障の観点からも「自由化が重要な鍵を握る」と強調した。

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EUは域内における石油と天然ガス需要のそれぞれ80%、60%を輸入に依存しており、エネルギーの安定確保を図るため供給源や輸送ルートの多様化に取り組んでいる。今年2月の臨時首脳会議では2014年までにエネルギー市場を統合し、域内の電気・ガス供給網を連結して、エネルギー供給が不足した場合に加盟国間で相互に融通できる仕組みを構築することや、エネルギー外交の強化などを柱とする政策方針を打ち出している。

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