2011/10/3

産業・貿易

英仏が海峡トンネル開放ルールに違反、欧州委が是正手続き開始

この記事の要約

欧州委員会は9月29日、英国とフランスが英仏海峡トンネルを利用した高速鉄道サービスへの新規参入を妨げているとして、両国に対する法的手続きを開始したことを明らかにした。欧州委は両国に対し、欧州単一鉄道市場の創設を目的とした […]

欧州委員会は9月29日、英国とフランスが英仏海峡トンネルを利用した高速鉄道サービスへの新規参入を妨げているとして、両国に対する法的手続きを開始したことを明らかにした。欧州委は両国に対し、欧州単一鉄道市場の創設を目的とした鉄道インフラの開放に関するEUルールを順守するよう求めており、2カ月以内に改善が見られない場合は第2段階の是正手続きに入ると警告している。

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英国と大陸ヨーロッパを結ぶ高速鉄道サービスは現在、ロンドン~パリとロンドン~ブリュッセル間を運行する「ユーロスター」が独占している。ユーロスターは仏国鉄SNCF、ベルギー国鉄SNCB、英ロンドン・アンド・コンチネンタル・レイルウェイズの3社が共同で保有する。同市場へはドイツ鉄道(DB)などが参入を目指しているが、英仏両国は鉄道事業者に英仏海峡トンネルの使用を認めるうえでさまざまな条件を設けており、なかでもユーロスターを基準とした車両の長さに関する規定が最大の参入障壁になっている。

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EUは2003年から段階的に鉄道サービス市場の自由化を進め、昨年から新規事業者が各国の鉄道インフラを利用して国際・国内線を運行することが可能になった。ただ、実際には鉄道路線の開放が進んでいない市場が多く、欧州委は08年、域内24カ国に対して03年に発効した第1次鉄道改革パッケージの順守を求める通知書を送付した。この中には英国とフランスも含まれているが、英仏海峡トンネルへのアクセスに関するルールは同パッケージに盛り込まれていないため、欧州委は両国に対し、新たに法令順守を求める法的手続きを開始した。

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