2011/10/3

競争法

ガスプロムなど立ち入り調査・競争法違反の疑いで

この記事の要約

欧州委員会は9月27日、中東欧のEU加盟国の複数のガス会社に競争法違反の疑いがあるとして、立ち入り調査を行ったことを明らかにした。調査の対象となった企業はいずれもロシアの政府系天然ガス独占企業ガスプロムの子会社や出資・供 […]

欧州委員会は9月27日、中東欧のEU加盟国の複数のガス会社に競争法違反の疑いがあるとして、立ち入り調査を行ったことを明らかにした。調査の対象となった企業はいずれもロシアの政府系天然ガス独占企業ガスプロムの子会社や出資・供給先で、欧州委の狙いが中東欧の天然ガス市場で支配的な地位を占めるガスプロムであるのは明らか。ロシアの国策企業である同社を標的としたことで、EUとロシアの関係に影響が出ることも予想される。

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調査はドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド、リトアニア、エストニア、ブルガリアで実施された。欧州委は声明で具体的な企業名には言及せずに、天然ガスの生産、輸送、貯蔵に関わる複数企業の抜き打ち調査を実施したことを発表。当該企業が「市場の分割、ガス輸送網への他企業のアクセス阻害、過度の価格つり上げなど、公正な競争を阻害する行為に従事している懸念がある」と説明した。ガスプロムは同日に声明を出し、ドイツやチェコなどの現地法人が欧州委の抜き打ち調査を受けたことを確認。同社と提携している独天然ガス最大手エーオン・ルールガスや独エネルギー大RWE、墺同業のOMVも立ち入り調査を受けたことを認めた。欧州委による調査の結論が出るまでには時間がかかるが、競争法違反が確定すれば、ガスプロムは多額の制裁金を科せられる可能性がある。

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EUは天然ガス需要の約25%をロシアに依存している。ガスプロムは同割合をさらに30%に引き上げる方針で、特に中東欧の天然ガス取引の中心であるオーストリアでは、同国のガス商社GWHを完全子会社化したうえ、OMV傘下のセントラル・ユーロピアン・ガスハブ(CEGH)に30%出資することも狙っている。

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