2011/10/31

総合 –EUウオッチャー

仏が追加の財政赤字削減策、成長見通し悪化受け大統領が表明

この記事の要約

フランスのサルコジ大統領は27日、深刻化する財政危機に対応するため、新たに最大80億ユーロ規模の財政赤字削減策を打ち出す方針を明らかにした。仏政府は2012年の成長率を当初は1.75%と予測していたが、大統領はこれを1% […]

フランスのサルコジ大統領は27日、深刻化する財政危機に対応するため、新たに最大80億ユーロ規模の財政赤字削減策を打ち出す方針を明らかにした。仏政府は2012年の成長率を当初は1.75%と予測していたが、大統領はこれを1%に下方修正。成長見通しの引き下げに伴い、12年の財政赤字削減目標を達成するために予算案の修正が必要になったと説明し、10日以内に新たな緊縮財政策をまとめる意向を示した。

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ギリシャの財政赤字隠しに端を発する信用不安が深刻化するなか、フランスでも財政赤字が拡大しており、抜本的な財政・経済改革が急務になっている。仏政府は財政赤字を国内総生産(GDP)比で11年は5.7%、12年は4.5%、13年には3.0%まで引き下げる目標を打ち出し、8月には企業や高額所得者の負担増を柱とする総額120億ユーロの赤字削減策を発表した。しかし、12年の成長率が当初の予想を大幅に下回る見通しとなったことを受け、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今月17日、フランスが「トリプルA」を維持するには一段の赤字削減が求められる可能性があると警告。南欧諸国の国債を大量に保有する国内の銀行と、ギリシャをはじめとするユーロ圏諸国の救済コストが過度に財政を圧迫した場合、同国の格付け見通しを3カ月以内に「ネガティブ」に修正する可能性があるとの見方を示していた。

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サルコジ大統領は出演したテレビ番組で、「深刻化する財政危機の中でフランスがトリプルAを維持するには、予算案を修正して新たな現実に対応しなければならない」と指摘。60-80億ユーロ規模の財政赤字削減策を来年度予算に盛り込む方針を示し、国民に対して財政健全化の取り組みに理解を求めた。緊縮財政策の具体的な内容は不明だが、大統領は増税を検討していることを明らかにし、「財政問題を考えるうえでドイツの政策に注意を払う必要がある」と指摘。仏独間で法人税などを調和させるべきだとの考えを示した。一方、付加価値税(VAT)に関しては、「全般的に」税率を引き上げる計画はないと明言したものの、現在は低水準に抑えられている食料品や外食時にかかる税率を引き上げる可能性は排除しなかった。

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