2011/10/31

産業・貿易

中国靴めぐる通商紛争、WTO裁定は痛み分け

この記事の要約

EUが中国製の革靴に反ダンピング措置を発動したのは不当として、中国が世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は28日、EUに協定違反があったとする中国側の主張を支持する裁定を下した。 […]

EUが中国製の革靴に反ダンピング措置を発動したのは不当として、中国が世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は28日、EUに協定違反があったとする中国側の主張を支持する裁定を下した。ただ、その他に関しては訴えを退け、双方痛み分けの結果となった。

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EUは中国とベトナムの革靴メーカーが製品を不当な安値で輸出し、域内のメーカーに大きな打撃を与えているとして、2006年10月に中国製に最大16.5%、ベトナム製に10%の反ダンピング税を課す措置を発動。2009年12月には同措置の15カ月延長を決めた。これに対して中国側は、EUの措置を不当として、2010年2月に提訴していた。

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WTOのパネルは、個別企業ではなく対象国のメーカーを一括して扱うEUの反ダンピング規則は、WTOにルールに反すると認定。しかし、ダンピング措置発動そのものに関しては不当とはみなさず、全体的に中国側の主張の一部を支持するにとどまった。

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欧州委員会は「パネルは中国の主張の大部分を受け入れなかった」として、パネル裁定を歓迎する意向を表明。一方、中国側もEUの反ダンピング規則が違反と認定されたことで、将来の問題再発が防げるとして事実上の勝訴を宣言した。

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EUの反ダンピング措置をめぐっては、域内でも小売業団体や中国に生産拠点のある大手靴メーカーが反発したことから、欧州委員会は今年3月末で打ち切った経緯がある。双方がパネル裁定を受け入れたことで、同問題は決着した格好となる。

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