2011/11/14

環境・通信・その他

ロシアと欧州結ぶ新送ガス管が開通

この記事の要約

ロシア産の天然ガスをバルト海経由でドイツに供給するパイプライン「ノルド・ストリーム」が8日、稼動を開始した。ドイツ東北部のルプミンで同日開催された開通式には独メルケル首相とロシアのメドベージェフ大統領が出席。同パイプライ […]

ロシア産の天然ガスをバルト海経由でドイツに供給するパイプライン「ノルド・ストリーム」が8日、稼動を開始した。ドイツ東北部のルプミンで同日開催された開通式には独メルケル首相とロシアのメドベージェフ大統領が出席。同パイプラインが欧州のエネルギー安定供給に寄与するとの期待感を示した。

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ノルド・ストリームは、ロシア北西部のヴィボルグとドイツ北東部のグライフスバルトを結ぶ全長約1,200キロメートルの海底パイプライン。事業母体であるノルド・ストリームAGには、ロシアのガスプロムが51%、独ヴィンタースハルとエーオン・ルールガスが各15.5%、蘭ガスユニーと仏GDFスエズが各9%を出資する。今回稼動を開始した第1パイプラインの輸送能力は年275億立方メートル。2013年に2本目のパイプイランが開通すると、550億立方メートルに倍増する。

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ロシアは欧州向けガス輸出の8割をウクライナ経由で行っているが、両国は天然ガス価格を巡って衝突を繰り返し、欧州へのガス供給が滞る事態が度々生じていた。ノルド・ストリームの開通によって、ロシアはウクライナを迂回して欧州諸国に直接天然ガスを送ることが可能になり、欧州市場で資源供給国としての信頼とシェアを維持することができる。欧州にとっても安定的にガスを確保できるメリットがある。ただ、欧州ではロシアへのエネルギー依存を警戒する声も強く、EUはカスピ海周辺国の天然ガスをロシアを迂回してトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の建設計画を打ち出している。

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