2011/11/28

産業・貿易

ドイツのVW法はなお違法、欧州委が独政府を再提訴

この記事の要約

欧州委員会は24日、欧州司法裁判所から違法と認定されたドイツの「フォルクスワーゲン(VW)法」について、独政府が見直しを怠ったとして、欧州裁に提訴することを明らかにした。同政府はVW法を改正したが、欧州委は対応が不十分で […]

欧州委員会は24日、欧州司法裁判所から違法と認定されたドイツの「フォルクスワーゲン(VW)法」について、独政府が見直しを怠ったとして、欧州裁に提訴することを明らかにした。同政府はVW法を改正したが、欧州委は対応が不十分で、なおEU法に違反していると判断し、再提訴に踏み切る。

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VW法は、自動車大手フォルクスワーゲンを敵対的買収から守るため、連邦政府と地元ニーダーザクセン州政府の合意に基づき1960年に導入された法律。一般株主の議決権を持ち株比率に関係なく最大20%に制限する一方、重要な議決での拒否権行使に必要な持ち株比率を通常の25%より低い20%と定めているため、常に20%以上の株式を持つニーダーザクセン州は敵対的買収を阻止できる。同州政府には、VW株を持ち続けるかぎり監査役を派遣する権利も認められている。

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同法令をめぐっては、欧州委員会が他の加盟国からの投資を妨げる無節操な買収防衛措置で、資本の自由移動を認めるEU法に違反するとして2005年に提訴。欧州裁は07年に欧州委の主張を認め、VW法を違法と認定する判決を下した。

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これを受けて独政府はVW法を改正し、議決権制限と監査役派遣の条項を撤廃した。しかし、ニーダーザクセン州の拒否権行使は引き続き認められる。欧州裁が不当と認定したのは議決権制限と拒否権行使の持ち株比率規定をワンセットで適用することで、一つを撤廃すれば問題ないとの立場に基づくものだ。

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これに対して欧州委は、拒否権行使だけでも違法として、再見直しを要求したが、独政府が応じなかったことから、再提訴を決めた。

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欧州委は欧州裁に対して、独政府が違法状態を完全に解消するまで、07年の違法判決が出た日から1日当たり3万1,114ユーロの制裁金を科すよう欧州裁に要請。今回の訴えが認められれば、その判決日から制裁額を同28万2,725ユーロに引き上げるよう求めている。

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