2011/12/5

総合 –EUウオッチャー

伊の国債入札順調、利回りは上昇

この記事の要約

イタリア政府は11月29日に中・長期国債の入札を実施し、74億9,000万ユーロを調達した。発行額は目標の50~80億ユーロの上限に近い水準で、順調に消化した。ただ、信用不安を受けて落札利回りは高水準にあり、長期的な資金 […]

イタリア政府は11月29日に中・長期国債の入札を実施し、74億9,000万ユーロを調達した。発行額は目標の50~80億ユーロの上限に近い水準で、順調に消化した。ただ、信用不安を受けて落札利回りは高水準にあり、長期的な資金調達の不安が続いている。

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発行したのは3年物、10年物の国債。どちらも需要が堅調で、応募倍率は3年物が1.5倍、10年物が1.34倍となった。しかし、指標となる10年物の平均落札利回りは危険水域とされる7%を大幅に超過。前回(10月)を1.5ポイント上回る7.89%となり、ユーロ導入後の最高値を更新した。3年物の利回りも7.89%と、前回から2.96ポイント上昇した。

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イタリアでは債務危機打開に向け、モンティ首相率いる実務派の新政権が誕生したが、副大臣、次官が決まって本格始動したのは29日。現時点で政策運営が不透明なことから、市場の不安が解消されていない。EUの包括的な信用不安対策がもたついていることも、利回り上昇を招いたとみられる。

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国内総生産(GDP)の120%に相当する債務を抱え、巨額の国債償還を控えるイタリアは、現行水準の利回りで国債を発行し続けるのは不可能で、新政権は早急に財政再建を推進し、市場の信頼を取り戻す必要に迫られている。

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