2011/12/5

総合 –EUウオッチャー

加盟国、防衛資源の共有で合意

この記事の要約

EU加盟国は11月30日にブリュッセルで開いた国防相理事会で、防衛資源の共有に向けて欧州防衛機関(EDA)が提案した一連の施策を承認した。欧州債務危機の影響でEU加盟国の防衛予算が削られる中、防衛力の維持と運用を効率的に […]

EU加盟国は11月30日にブリュッセルで開いた国防相理事会で、防衛資源の共有に向けて欧州防衛機関(EDA)が提案した一連の施策を承認した。欧州債務危機の影響でEU加盟国の防衛予算が削られる中、防衛力の維持と運用を効率的に行うことを目指す。

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EDAの提案は、◇野戦病院の共同設立◇空中給油機の性能と相互運用性の向上◇軍用ヘリや戦闘機のパイロットの共同訓練◇スマート兵器の調達標準化◇諜報・偵察活動における協力――を内容としている。EDAのアルノー長官は会合後の会見で、「欧州が信頼性の高い防衛力を維持したいと考えるならば、加盟国間の協力が必要だ」と述べた。

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EU加盟27カ国の防衛予算は1,940億ユーロと、米国に次ぐ規模を持つ。ただ、軍縮の流れから各国とも防衛費を抑制する傾向にあり、防衛支出は過去10年間で15%縮小。債務危機で各国の財政状況が悪化するなか、今後さらに減少することが予想される。また、多くの加盟国は独自の防衛産業政策を推進しており、伊フィンメカニカ、仏タレス、英BAEといった域内の大手防衛企業が提供している装備には重複が見られ無駄が多い。今年3月のリビアに対する軍事介入では英仏など欧州が主導権を握っていたにもかかわらず、装備や兵站を米国に頼る結果となり、欧州の防衛能力の問題点が露呈した。アルノー長官は、「欧州の防衛予算の配分を米国と比べると、効率に大きな開きがある」と指摘。「EUの防衛装備市場は断片化している」と述べて、防衛装備の分野でも単一市場の形成に向けた取り組みを進める必要性があると強調した。

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