2011/12/12

総合 –EUウオッチャー

ECBが2カ月連続利下げ、銀行への資金供給も拡大

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は8日の定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を0.25ポイント引き下げ、年1.0%にすることを決めた。11月に同率の利下げを実施したばかりだが、債務危機で揺れるユーロ圏の景気 […]

欧州中央銀行(ECB)は8日の定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を0.25ポイント引き下げ、年1.0%にすることを決めた。11月に同率の利下げを実施したばかりだが、債務危機で揺れるユーロ圏の景気を下支えするため、追加利下げによって金利を過去最低水準まで引き下げる。さらに、資金繰りが悪化している銀行を支えるため、資金供給の拡大も決めた。

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今回の利下げは市場の予想通り。ECBの内部経済予測で、ユーロ圏は2012年に0.4%のマイナス成長に陥る恐れがあることなどを踏まえ、2カ月連続の利下げに踏み切った。

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資金供給の拡大では、定例オペレーションで新たに期間3年の資金を無制限で供給する。期間はこれまでの上限の13カ月から大幅に拡大されることになる。また、資金供給に際しての担保基準も緩和し、銀行が差し出す資産担保証券(ABS)の格付けが「Aマイナス」以上であれば担保として受け入れる。さらに、銀行が保有する預金のうち、各国中央銀行に預けなければならない率(預金準備率)を2012年1月18日付で、2%から1%に引き下げる。

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同措置は、ユーロ圏の銀行が信用不安の影響で、社債発行や銀行間融資による資金調達が困難となっていることを受けたもの。EUの指示で資本増強を迫られている各銀行が貸しはがしを強め、実体経済に悪影響を及ぼすことを防ぐ狙いもある。

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市場ではECBが今回、新たな信用不安対策を打ち出すとの期待が広がっていた。ドラギ総裁が先ごろ欧州議会の公聴会で、EUが財政規律を強化することを条件に、ECBの債務危機対策に「新たな要素を加えるかもしれない」と述べたためだ。具体的には、ECBによる財政危機国の国債の買入れ拡大や、国際通貨基金(IMF)経由で危機国に金融支援を行う案などが取りざたされていた。

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しかし、結果は空振り。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「私の発言が曲解されて驚いた」と述べ、国債の買入れは流通市場に限り、新発債を直接買い取ることを否定。買い取りもあくまで「限定的」な「一時的」措置とする方針を改めて確認した。

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