2011/12/19

総合 –EUウオッチャー

移民労働者の在留・就労手続きを一本化、欧州議会が指令案可決

この記事の要約

欧州議会は13日の本会議で、域外からの移民労働者の在留・就労許可手続きを簡素化するための「単一許可指令(案)」を賛成多数で可決した。EU共通の許可制度を導入して合法的な移民労働者の受け入れを促進するのが新指令の狙い。域内 […]

欧州議会は13日の本会議で、域外からの移民労働者の在留・就労許可手続きを簡素化するための「単一許可指令(案)」を賛成多数で可決した。EU共通の許可制度を導入して合法的な移民労働者の受け入れを促進するのが新指令の狙い。域内で合法的に働く第3国からの労働者にはEU市民と同等の権利が保障される。EU加盟国はすでに指令案の内容で合意しており、2年以内に国内法を整備して新制度を導入することが義務づけられる。

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移民労働者の単一許可指令案は、域外からの労働者の受け入れに関するEU共通政策の一環として、欧州委員会が2007年に打ち出したもの。欧州委が同時に提案した、高技能労働者にEU共通の労働許可証「ブルーカード」を発行する制度の創設を定めた指令案は、09年5月に採択されている。

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単一許可指令はEU諸国での在留・就労を希望したり、すでに合法的にEU域内に在留・就労している第3国の市民に適用される。ただし、難民、季節労働者、企業内転勤者などは対象外で、これらの受け入れに関しては別のEUルールが制定済み、または審議中となっている。

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新指令によると、在留・就労許可の手続きに関しては、1回の申請ですべての手続きが一括処理され、在留・就労の両許可証を同時に取得できる制度が導入される。こうしたワンストップサービスの実現により、労働者と雇用者の双方にとって手続きが大幅に簡素化される。在留・就労許可の可否は引き続き加盟国の判断に委ねられるが、申請から4カ月以内に決定を下さなければならない。

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単一許可証を取得した域外からの労働者は、賃金や解雇など基本的な労働条件、社会保障、年金、教育、職業訓練、資格認定など、幅広い分野でEU市民と同等の権利を得る。ただし、雇用契約が6カ月未満のケースでは、加盟国は社会保障サービスへのアクセスを一部制限することが可能。また、公営住宅への入居など公共サービスに関しても、さまざまな状況に応じて一定の制限を加えることができる。一方、失業登録者だけでなく、就労中の移民労働者にも教育や職業訓練を受ける権利が保障される。

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