2011/12/27

総合 –EUウオッチャー

EUのIMF追加拠出は1.5千億ユーロ、英の離反で目標届かず

この記事の要約

EU加盟国の財務相は19日に行った電話協議で、国際通貨基金(IMF)にユーロ圏が追加で総額1,500億ユーロを拠出することで合意した。EUの非ユーロ圏10カ国のうちスウェーデン、ポーランドなど4カ国も追加拠出に応じる。し […]

EU加盟国の財務相は19日に行った電話協議で、国際通貨基金(IMF)にユーロ圏が追加で総額1,500億ユーロを拠出することで合意した。EUの非ユーロ圏10カ国のうちスウェーデン、ポーランドなど4カ国も追加拠出に応じる。しかし、英国が拒否したため、拠出額はEU全体で2,000億ユーロという目標を下回ることになった。

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IMFへの追加拠出は、ユーロ圏の財政悪化国に対するIMFの支援能力を増強するため、先のEU首脳会議での合意したもの。EUによる支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」だけでは、イタリアなどが支援を要請した場合に支えきれないことが背景にある。さらに、有力格付け会社が独、仏を含むユーロ圏の国債の格下げを示唆しているため、これらの国々の信用に裏打ちされたEFSF債の格付けも引き下げられ、EFSFの支援資金調達が困難となる恐れがあることも考慮した。

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1,500億ユーロは、財政危機でEU、IMFから融資を受けているギリシャ、アイルランド、ポルトガルと2011年にユーロに参加したばかりのエストニアを除くユーロ圏13カ国の中央銀行が拠出する。電話協議で決まった各国の拠出額は、独415億ユーロ、仏314億ユーロ、伊234億8,000万ユーロなど(表参照)。

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非ユーロ圏で拠出の意向を表明したのは、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、チェコの4カ国。主要国の英国は、主要20カ国・地域(G20)の枠組みでなければ追加拠出に応じないとして拒否した。首脳会議では2,000億ユーロを目標に定めていたが、300億ユーロを負担するはずの同国の離脱により、届かなくなった。

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英国は財政規律の強化に向けた新条約にも、加盟国で唯一、参加しないことになっており、EU内での孤立が深まってきた。

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