2011/12/27

総合 –EUウオッチャー

EU、ウクライナとの連合協定締結見送り

この記事の要約

EUとウクライナは19日、ウクライナの首都キエフで首脳会談を開いた。EUのファンロンパイ大統領は会談後、年内に締結を目指していたウクライナとの連合協定への調印を見送ったことを明らかにした。10月にティモシェンコ前首相が職 […]

EUとウクライナは19日、ウクライナの首都キエフで首脳会談を開いた。EUのファンロンパイ大統領は会談後、年内に締結を目指していたウクライナとの連合協定への調印を見送ったことを明らかにした。10月にティモシェンコ前首相が職権乱用罪で有罪判決を受けたことで、同国の司法改革や民主化の遅れに懸念が強まったため。

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ファンロンパイ大統領は「我々の最大の懸念は、ウクライナにおける政治的動機よる司法とティモシェンコ氏の裁判だ」とウクライナの司法制度の問題点を指摘。「連合協定を可能な限り早い時期に調印・批准したいと考えているが、それは政治状況次第だ」と語り、連合協定への調印はティモシェンコ前首相に対する処遇次第であるとの認識を示した。

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ティモシェンコ氏は10月、2009年にロシアと合意した天然ガス輸入合意が職権乱用にあたるとして、禁固7年と15億フリブナ(約144億円)の罰金の支払いを命じる有罪判決を言い渡された。この判決をめぐっては、かつての政敵である同氏を排除しようとするヤヌコビッチ大統領の意図が働いているとの見方が強く、欧米諸国から批判の声が挙がっている。しかしヤヌコビッチ大統領は、検察・裁判所の独立性を理由に、判決の見直しには応じない姿勢を見せている。

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ウクライナは現在、ロシアと天然ガスの輸入価格交渉を行なっている。ロシアはかねてからウクライナの欧州統合路線に警戒感を強めており、天然ガス価格を引き下げる見返りとして旧ソ連諸国による関税同盟への参加を求めるなどウクライナに対する政治的圧力を高めることが予想される。連合協定の締結が先送りとなったことをきっかけに、ヤヌコビッチ政権がロシア寄り路線に傾斜する可能性も懸念され、EUは今後、対ウクライナ政策で難しいかじ取りを迫られそうだ。

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