2012/1/9

総合 –EUウオッチャー

債務危機でユーロ安加速、10年ぶりに100円割れ

この記事の要約

欧州の債務危機を背景に、外国為替市場でユーロ売りが加速している。対円では12月30日、10年ぶりに1ユーロ=100円の大台を割り込み、6日には一時97円台まで下落。対ドルでも売りが進んでいる。市場ではユーロ圏の重債務国の […]

欧州の債務危機を背景に、外国為替市場でユーロ売りが加速している。対円では12月30日、10年ぶりに1ユーロ=100円の大台を割り込み、6日には一時97円台まで下落。対ドルでも売りが進んでいる。市場ではユーロ圏の重債務国の資金調達に対する不安が広がっており、底値が見えない状況だ。

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ユーロは30日、1ユーロ=99.77円まで下落し、2001年6月以来の100円割れとなった。ユーロ危機へのEUの対策が不十分で、信用不安が続くとの不安がくすぶっていることが背景にある。とくに、第2のギリシャとなることが懸念されるイタリア、スペインなど、今年前半に大量の国債償還を控えているユーロ圏の重債務国が、国債の新発で順調に償還資金を調達できるかどうかという不安材料がユーロ安に拍車をかけている。対ドルでも下げており、独歩安の状況だ。

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年明け後の為替市場では、ギリシャのパパデモス首相が4日、労組が更なる賃下げを受け入れなければ3月にも「制御不能なデフォルト(債務不履行)に陥る」との懸念を示したことなどから、ユーロ売りが加速。6日には12月の米雇用統計が改善したことを受けて、対ドルで一時1ユーロ=1.2698ドルと、2010年9月以来の安値を付けた。これに引きずられて円高・ユーロ安も一段と進み、11年ぶりの安値となる1ユーロ=97.91円まで下げた。

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ユーロ圏では信用不安に加え、6日発表された最新の景況感、失業率統計とも思わしい結果とならず、経済全般への不安が広がっており、ユーロ買いの材料が見つからない状況だ。今後もユーロ売り圧力が強まる見込みで、市場では対ドルで1ユーロ=1.25ドル台をうかがう局面に入ったとの見方が出ている。

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