デンマークが1日、ポーランドに代わってEU議長国に就任した。ユーロ圏の信用不安の解消が最大の課題となるが、同国は小国で、ユーロにも参加していないことから、リーダーシップ発揮の余地は少ないとの見方が多い。
\EUでは2010年12月に発効した新基本条約「リスボン条約」によって、11年から首脳会議の常任議長はEU大統領が務めるシステムとなっている。しかし、実務的な協議を行う閣僚理事会は、外相理事会を除いて、従来と同じく加盟国が持ち回りで議長を務める。
\EU史上最大の危機とされる債務危機問題をめぐっては、EUが昨年に包括的対策をまとめたが、これまでのところ効果は薄く、ギリシャ、イタリアなどで依然として信用不安がくすぶっている。6月末まで議長国を務めるデンマークにとって、同問題が最大の懸案となる。12月上旬の首脳会議で合意した財政規律強化に向けた新条約の制定が当面の課題となりそうだ。
\ただ、信用不安をめぐる協議では、ユーロ圏の2大国であるドイツ、フランスが大きな影響力を持ち、決定を大きく左右している。小国デンマークが議長国として協議を主導するのは難しい情勢で、同国の通信社リッツォーも「デンマークにユーロ危機を解決する力はない」と報じた。
\10月に発足した中道左派の連立政権を率いるトーニング=シュミット首相も、こうした状況を踏まえて「ユーロ圏17カ国とEU27カ国の架け橋になる」と述べ、英国など非ユーロ圏のEU加盟10カ国とユーロ圏17カ国の信用不安対策をめぐる溝を埋めるための調整役に徹する方針を示している。
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