2012/1/23

総合 –EUウオッチャー

伊政府が成長戦略を閣議決定、規制緩和で経済活性化

この記事の要約

イタリア政府は20日、規制緩和による競争促進策を柱とする成長戦略を閣議決定した。厳しい緊縮財政で経済成長が落ち込むなか、医薬品販売、エネルギー、保険、交通など幅広い分野で新規参入を促し、経済を活性化して早期の財政健全化を […]

イタリア政府は20日、規制緩和による競争促進策を柱とする成長戦略を閣議決定した。厳しい緊縮財政で経済成長が落ち込むなか、医薬品販売、エネルギー、保険、交通など幅広い分野で新規参入を促し、経済を活性化して早期の財政健全化を実現するのが狙い。今後、議会で新戦略について検討するが、対象となる各業界は既得権を奪われることに強く反発しており、審議の行方は不透明だ。

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モンティ政権は2013年までの財政赤字解消を目標に掲げ、先月には付加価値税率の引き上げや年金支給年齢の引き上げなどを盛り込んだ300億ユーロ規模の緊縮財政策を打ち出した。今回の成長戦略は財政再建策の第2弾で、現在は労働市場改革に向けた具体策などについても検討が進められている。

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新戦略は薬局やガソリンスタンドなどの出店規制の緩和、弁護士の報酬に最低料金を設定した現行システムの廃止、公証人の増員などを柱とする内容。一連の措置により、全国で新たに5,000店の薬局が開店し、公証人も500人程度増えるとみられている。このほか、電力・ガス市場で競争を促すため、エネルギー最大手ENIのガス輸送部門を分離する計画も盛り込まれた。一方、当初はタクシーの台数規制を大幅に緩和して、運転手の数を現在の2倍に増やす構想だったが、業界側がこれに抗議し、ローマなどで大規模なデモを展開。政府は譲歩を余儀なくされ、新たに設置する国の機関が各自治体と協議して免許の発行件数を決める措置のみが盛り込まれた。

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モンティ首相は会見で「イタリアでは何十年にもわたり、限られた競争、不十分なインフラ、複雑な行政手続きという3つの制約によって経済成長が阻害されてきた」と指摘。歳出削減だけでは財政健全化を実現することはできないとの考えを改めて示し、競争原理を導入して経済の活性化を図る必要があると訴えた。

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