2012/1/30

総合 –EUウオッチャー

ギリシャは予算管理権放棄を、独が第2次支援の条件として要求

この記事の要約

財政危機に陥っているギリシャに対するEU・国際通貨基金(IMF)の第2次支援実施をめぐり、ドイツが条件として、ギリシャが予算管理権を放棄し、ユーロ圏に委ねることを求めていることが分かった。27日付の英フィナンシャル・タイ […]

財政危機に陥っているギリシャに対するEU・国際通貨基金(IMF)の第2次支援実施をめぐり、ドイツが条件として、ギリシャが予算管理権を放棄し、ユーロ圏に委ねることを求めていることが分かった。27日付の英フィナンシャル・タイムズが報じた。

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同紙によると、この要求はドイツ政府が他のユーロ圏諸国の財務相に充てた書簡で明らかにしたもの。ギリシャの予算決定権を「一定期間」にわたって制限し、ユーロ圏の財務相が任命する「予算委員」が管理するという内容だ。ギリシャ政府の予算に関する決定が、EUとIMFが金融支援の条件として定めた財政再建目標に合致しない場合は、予算委員が拒否権を発動し、見直しを求めることを提案している。さらに、ギリシャが税収を最優先で債務返済に回すことを定めた法令を策定することも求めている。

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ドイツの提案は、ギリシャの放漫財政が深刻な財政危機を招き、ユーロ圏を揺るがす事態に発展していることを受けたもの。書簡は「(EUの)財政規律に従ってこなかったギリシャは、予算主権を一定期間、欧州レベルに委譲することを受け入れなければならない」としている。

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ギリシャは昨年5月にEUとIMFから総額1,100億ユーロの緊急融資を取り付けたが、信用不安が収まらず、自力での国債発行による資金調達ができない状況が続いている。このため、EUは昨年7月、第2次支援としてIMF と共同で1,300億ユーロを追加融資することを決めていた。

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債務削減交渉は難航

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第2次支援実施には、ギリシャの国債を保有する銀行など民間債権者が、債務削減を受け入れることが条件のひとつとなっているが、その実現に向けた銀行側とギリシャ政府の交渉が難航している。

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ギリシャ国債を保有する民間銀行側は、2,000億ユーロに上る元本の50%棒引きで合意済み。新たに発行される長期国債に買い換える形で実施する。焦点となっているのは、新発債の利回り。利回りが低いほど不利で、損失がさらに膨らむ銀行側と、なるべく低く設定し、負担を抑えたいギリシャ政府との攻防が続いている。

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銀行を代表する国際金融協会(IIF)と政府の債務削減交渉では、2020年に満期を迎える新発債の利回りついて、銀行側は4%以上を要求。これに対して政府は3.5%以下を主張して譲らず、目標としていた23日のユーロ圏財務相会合までの決着はならなかった。

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ギリシャは3月に145億ユーロの国債償還を控えており、それまでに第2次支援が実行されなければデフォルト(債務不履行)に陥る。ユーロ圏のイタリア、スペインなど重債務国の国債利回りが低下に転じ、信用不安問題に好転の兆しがみえているが、債務削減交渉が長引けば市場の不安が再燃し、この気運に水を差すことになる。ギリシャ政府は数日中の妥結を目指し、IIFとの交渉を続ける。

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