2012/2/6

産業・貿易

保険会社の新規制導入遅延、EU監督機関が懸念表明

この記事の要約

EUの保険監督機関である欧州保険年金監督機構(EIOPA)が、域内の保険会社を対象とする新資本規制「ソルベンシーⅡ」の法制化が遅れていることについて懸念を表明し、EUに期限内の施行に向けた努力を強化するよう求めている。ロ […]

EUの保険監督機関である欧州保険年金監督機構(EIOPA)が、域内の保険会社を対象とする新資本規制「ソルベンシーⅡ」の法制化が遅れていることについて懸念を表明し、EUに期限内の施行に向けた努力を強化するよう求めている。ロイター通信などが2日報じた。

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「ソルベンシーⅡ」は保険会社にとって、銀行に対する自己資本比率の最低基準を定めた新BIS規制に相当するもの。保険会社が不測の事態が発生した場合でも契約通りに保険金を支払うことができるように、一定の余裕資金保有を義務付けることを柱とする内容だ。

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加盟国は2009年に法案を採択。2012年の施行を目指していた。しかし、欧州議会での承認手続きが難航し、施行は2014年1月に延期された。

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ところが、欧州議会の審議は依然として停滞しており、1月に予定されていた経済金融委員会の採決が3月に先送りされたばかり。新期限の順守も微妙な雲行きとなっている。

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ロイター通信によると、EIOPAのガブリエル総裁は、欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)や欧州議会関係者に送付した書簡で、新規制の法制化が遅れていることで、保険業界や各国当局で先行き不透明感が広がっており、保険会社の資本増強努力に水を差していると指摘。金融市場が不安定な中、「これ以上の遅れは許されない」として、早期の法案成立を求めた。また、この状況が続くと、各国が独自に資本規制を導入し、混乱が広がる恐れがあると警告した。

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