2012/2/27

総合 –EUウオッチャー

ギリシャへの第2次支援決定、デフォルトの危機回避

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は20日に開いた財務相会合で、深刻な債務危機に陥っているギリシャへのEU、国際通貨基金(IMF)による総額1,300億ユーロの第2次支援実施で合意した。これによってギリシャは3月の国債償還に必要な資金を確 […]

ユーロ圏17カ国は20日に開いた財務相会合で、深刻な債務危機に陥っているギリシャへのEU、国際通貨基金(IMF)による総額1,300億ユーロの第2次支援実施で合意した。これによってギリシャは3月の国債償還に必要な資金を確保し、デフォルト(債務不履行)を回避できることになった。

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会合での協議は13時間に及び、21日未明に決着した。ギリシャのパパデモス首相は会合後の記者会見で「ギリシャ経済にとって歴史的な日と呼んでも過言ではない」と喜びを表した。

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EUとIMFはギリシャ救済のため、2010年5月に総額1,100億ユーロの融資を決定。しかし、財政危機が一段と深刻化しているため、昨年10月に第2次支援実施を決めた。1,300億ユーロの追加支援を行うと同時に、ギリシャ国債を保有する民間債権者が自主的に債務の50%棒引きを受け入れるという内容だ。しかし、追加支援実施の条件となるギリシャの債務削減が不透明なため、実施がずれ込んでいた。

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すでにギリシャ政府は、EUなどが求める追加緊縮策を成立させるなどして、前週までに追加支援の条件を満たしていた。最後の関門となっていたのが、国内総生産(GDP)比160%近くに達している政府債務を2020年までに同120%以下に削減するという約束の実行。これまでに打ち出した対策では、129%までしか圧縮できないと判断されたためだ。

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今回の財務相会合は、その穴埋めをめぐる協議が難航し、異例の長時間に及んだ。最終的に、銀行など民間債権者の国債元本の削減率を53.5%に引き上げることで合意。さらに◇第1次支援の返済利息を向こう5年間は0.5ポイント、それ以降は1.5ポイント引き下げる◇欧州中央銀行(ECB)とユーロ圏各国の中央銀行が、過去2年間のギリシャ国債購入で得た利益を返上する――ことを決めた。これによって政府債務は2020年までにGDP比120.5%と、ほぼ目標水準まで削減できる目途がついたことから、第2次支援の実施を承認した。

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ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債償還を控えており、それまでに第2次支援が実行されないと無秩序なデフォルトに陥ることになっていた。今回の支援承認でデフォルトの危機はギリギリで回避され、ユーロ圏の信用不安問題は大きなヤマ場を越えた。21日のアジア外国為替市場では支援決定を好感し、ユーロが急上昇した。

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ただ、ギリシャ経済は5年連続でマイナス成長となっており、昨年10-12月期のマイナス幅は前年同期比7%に達した。追加緊縮策が景気を一段と圧迫し、税収が減るのは必至で、財政再建が計画通り進むかどうか、なお不透明な状況にある。

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債務借り換え手続き開始

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一方、ギリシャ政府は24日、民間債権者を対象とした債務借り換えの手続きを開始した。

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民間の銀行などが保有するギリシャ国債は総額約2,060億ユーロ。その元本を53.5%削減した上で、新たな長期国債と交換する。新発債の利回りは2015年満期が2%、同2021年が3%、同年以降に償還期限を迎えるもの4.3%と、低い水準に抑えられる。これにより元本削減分を含めた棒引き率は70%程度に達する。政府はEU、IMFの第2次金融支援で受け取る1,300億ユーロのうち300億ユーロを債権者への補償に回す。

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交換成立には、債権者の75%以上(債券額ベース)が応じることが条件となる。政府は20日に償還期限を迎える145億ユーロの国債について、借り換えを12日までに完了させたい考えだ。

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また、債権者の66%以上が同意した場合は、借り換えに応じない債権者に強制執行する集団行動条項(CAC)を発動することも検討している。

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