2012/3/12

産業・貿易

女性役員登用の義務付け検討、年内に法制化の是非判断

この記事の要約

欧州委員会は5日、EU内の上場企業に対して一定以上の女性役員登用を義務づける方針を明らかにした。欧州委は昨年、2020年までに取締役会に占める女性の割合を40%に引き上げる指針を打ち出したが、企業の自主的な取り組みでは目 […]

欧州委員会は5日、EU内の上場企業に対して一定以上の女性役員登用を義務づける方針を明らかにした。欧州委は昨年、2020年までに取締役会に占める女性の割合を40%に引き上げる指針を打ち出したが、企業の自主的な取り組みでは目標達成が難しいと判断し、法制化に乗り出す。

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欧州委のレディング副委員長(司法・基本権・市民権担当)は昨年3月、男女格差を是正するため、女性取締役の割合を2015年までに30%、20年までに40%に引き上げるよう企業に要請した。欧州委のまとめによると、上場企業の女性取締役の割合は今年1月時点で平均13.7%。昨年の11.8%からわずかに改善したものの改善のペースは緩やかだ。レディング副委員長は「このままでは女性役員が4割以上を占めるようになるまでに40年以上かかる」と指摘。ビジネスの世界のトップに女性が少ないことは「欧州の競争力を損ね、経済成長の妨げになる」と危機感を示し、女性役員の登用を義務づける割当制(クオータ制)の必要性を強調した。

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割当制はベルギー、フランス、イタリア、オランダ、スペインで導入済み。デンマーク、フィンランド、ギリシャ、オーストリア、スロベニアでは国営企業に限って導入されている。このうちフランスでは、女性役員の割合が12%から24%に増加し大きな成果を挙げている。欧州委では5月下旬まで企業、市民らの意見を聴取し、年内に女性役員の比率目標の達成を義務づける法律の整備について判断する方針だ。

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