2012/3/26

総合 –EUウオッチャー

EUが対シリア制裁強化、大統領夫人など親族も対象に

この記事の要約

EU外相理事会は23日、反政府勢力への弾圧を続けるシリアのアサド政権に対する制裁の強化で合意した。アスマ大統領夫人をはじめ、大統領の親族12人を新たに資産凍結・EU域内渡航禁止の対象に加える。\ 今回の追加措置で、昨年の […]

EU外相理事会は23日、反政府勢力への弾圧を続けるシリアのアサド政権に対する制裁の強化で合意した。アスマ大統領夫人をはじめ、大統領の親族12人を新たに資産凍結・EU域内渡航禁止の対象に加える。

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今回の追加措置で、昨年の反政府デモ開始以降のEUによる対シリア制裁は13回目となる。アスマ夫人のほか、大統領の母親、姉、義理のきょうだい、閣僚8人、ならびにシリア企業2社が新たな対象となり、制裁対象者はこれで、126個人と41団体に上った。アサド大統領も、昨年5月から対象となっている。

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3児の母親であるアスマ夫人(36才)は、ロンドン生まれで英国籍を保有する。大統領と結婚するまでは投資銀行に勤務していた。西側の価値観に基づくリベラルな考え方で、長期独裁政権の「ソフトな顔」になると期待されたほか、慈善活動にも積極的なことで知られ、政権が昨年、市民への弾圧を始める1カ月ほど前にはファッション誌「ヴォーグ」が、「砂漠のバラ」と評価していた。

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しかし先月、政府の弾圧で多くの市民が命を落とす状況のなか、インターネットを通じて贅沢品の購入を続けていたことが英ガーディアン紙の報道で判明。市民からの激しい批判にさらされていた。反政府勢力が入手した夫人の電子メールによると、シャネルのドレスやクリスチャン・ルブタンの靴、ジュエリー、高級家具などのほか、英国の高級百貨店ハロッズでベネチアングラスの花瓶を購入するなど、合計数万ポンド相当の買い物をしていたという。

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 アスマ夫人は英国のパスポートを所有していることから、EU域内への渡航が禁止されても、英国への入国は拒否されない。だが、これについて同国のヘイグ外相は、シリア内外からの厳しい批判のなかで、夫人が英国に向けて出国することはないだろうとの見解を示している。

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