2012/3/26

産業・貿易

欧州委、シャドーバンキングの規制強化へ

この記事の要約

欧州委員会は19日、ノンバンク系金融の「シャドーバンキング」に対する規制強化に向けた政策文書(グリーンペーパー)を発表した。シャドーバンキングが世界金融危機を招いたシステミック・リスクの要因となったとの認識に立ち、ノンバ […]

欧州委員会は19日、ノンバンク系金融の「シャドーバンキング」に対する規制強化に向けた政策文書(グリーンペーパー)を発表した。シャドーバンキングが世界金融危機を招いたシステミック・リスクの要因となったとの認識に立ち、ノンバンク系への規制・監督を強化することで金融システムの安定確保を図る。

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シャドーバンキングとは通常の銀行ではなく、証券会社やヘッジファンド、証券化のための特殊な資産運用会社などの金融業態の総称。免許制などで金融当局から厳しく監督されている銀行に比べて規制が緩く、監督当局も実態を把握しきれていない。借入金などで多額の資金を集め、仕組みが複雑でリスクが高い金融商品への投資を膨らませており、これがリーマンショックの一因になったとされる。日米欧などの金融監督当局の集計によると、シャドーバンキングの世界総資産は2010年時点で60兆ドル(約4,600兆円)となっている。

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欧州委は、シャドーバンキングへの規制強化策としてレポ取引の担保要件を厳格化することや、銀行や保険会社の資本規制の適用のほか、当初はヘッジファンド規制を意図して策定された監督ルールに従わせることなどを提案している。バルニエ委員(域内市場・金融サービス担当)は、「金融機関が既存のあるいは今後導入されるルールを回避し、金融セクターに新たなリスクを蓄積させることは望ましくない」と規制強化の必要性を強調した。欧州委は6月1日まで規制案に関する利害関係者から意見を募集し、その結果を踏まえ法整備に向けた検討を進める。

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