2012/4/2

環境・通信・その他

排出割当の削減命令は「越権行為」、欧州裁が欧州委の控訴棄却

この記事の要約

欧州司法裁判所は3月29日、二酸化炭素(CO2)排出量取引制度の第2期にあたる2008-12年の国内排出割当計画(NAP)をめぐり、欧州委員会がポーランドとエストニアに排出割当量の大幅な削減を義務付けたのは「越権行為」に […]

欧州司法裁判所は3月29日、二酸化炭素(CO2)排出量取引制度の第2期にあたる2008-12年の国内排出割当計画(NAP)をめぐり、欧州委員会がポーランドとエストニアに排出割当量の大幅な削減を義務付けたのは「越権行為」にあたるとして、同委の決定を無効とした一審判決を支持する判断を示した。これで欧州委の敗訴が確定したが、すでに両国とも欧州委の設定した排出割当に同意しており、今回の判決を受けて上限を見直すなどの措置はとられない。

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ポーランドとエストニアは06年に提出した第2期NAPで排出割当量をそれぞれ年間2億8,460万トン、2,400万トンに設定していたが、いずれも06年の排出実績を大幅に上回る水準だったため、欧州委は翌年、これを2億850万トン、1,270万トンに削減するよう命じた。当初の計画と比べるとポーランドは26.7%、エストニアは47.8%も低い水準だ。両国政府は経済成長を維持するうえで最低限必要な排出枠の削減を義務付けた欧州委の判断は誤りだなどと反論し、他の東欧諸国などと相前後して同委を提訴。第一審裁判所(当時)は09年、両国の主張を認める判決を言い渡し、欧州委がこれを不服として控訴していた。

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欧州裁は判決で「自国産業への割り当てを決定する権限は各国政府にあり、欧州委は自らの権限を逸脱した」と指摘。欧州委による決定の無効化を命じた一審判決を全面的に支持する判決を言い渡した。

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