2012/5/28

産業・貿易

格付け会社の規制強化案、加盟国が合意

この記事の要約

EU加盟国は21日の閣僚理事会で、信用格付け会社の規制強化案で合意した。不透明な判断基準に基づく国債の格下げが金融市場を混乱させ危機を拡大させたとの認識に立ち、格付けの手続きを厳格化して信用評価の透明性を確保するのが狙い […]

EU加盟国は21日の閣僚理事会で、信用格付け会社の規制強化案で合意した。不透明な判断基準に基づく国債の格下げが金融市場を混乱させ危機を拡大させたとの認識に立ち、格付けの手続きを厳格化して信用評価の透明性を確保するのが狙い。欧州議会の承認を経て導入する。

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合意した規制案は、格付けの透明性を確保するため、現在は年1回行っているEU諸国の国債の格付け見直しを6カ月ごとに行うよう求めている。また、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスの大手3社による寡占状態を改善して競争を促進するため「輪番制」を導入し、金融商品の格付けを依頼する格付け会社を4年ごとに変更することを企業に義務付ける。ただし、対象となる金融商品は再証券化商品などのストラクチャード・ファイナンス(仕組み金融)商品に限定され、小規模の格付け会社や4社以上の格付け会社に評価を依頼している企業はルールの適用対象外となる。また、将来的に仕組み金融以外の金融商品にも輪番制を導入することを検討する見直し条項を設けることを提案している。さらに誤った格付け判断で投資家が損害を受けた場合、各国の裁判所に損害賠償請求訴訟を起こすことができる制度の導入することも盛り込まれた。

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さらに、欧州委員会に対しては2016年7月1日までに格付け市場の状況に関する報告書をまとめるよう求めるとともに、必要に応じて新たな規制を提案するよう促している。

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