2012/5/28

環境・通信・その他

欧州議会がクロマグロ規制案を可決、巻き網漁業の監視強化など柱

この記事の要約

欧州議会は23日の本会議で、東大西洋および地中海クロマグロの資源回復に向けた新たな規制案を賛成多数で可決した。新規制は2010年11月の大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)年次会合で採択された合意に基づき、過剰漁獲 […]

欧州議会は23日の本会議で、東大西洋および地中海クロマグロの資源回復に向けた新たな規制案を賛成多数で可決した。新規制は2010年11月の大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)年次会合で採択された合意に基づき、過剰漁獲の大きな要因とされる巻き網漁業に対する監視強化や漁期の短縮などを柱とする内容になっている。EU加盟国の承認を経て新ルールが導入される。

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マグロ類は近年、世界中で大量に消費されているが、乱獲を防止するための実効性のある管理体制が確立されていないため、多くの海域で資源量の減少が懸念されている。なかでも地中海を中心とした東大西洋でクロマグロの個体数が激減しており、ICATTを中心に資源管理のあり方が議論されている。欧州ではクロマグロを巻き網で大量に捕獲し、生簀(いけす)で飼育してから出荷する畜養事業が広く行われているが、これまで捕獲したマグロのうちどれだけが生簀に入れられ、出荷までにどれだけのマグロが死んだのかといったデータは収集されておらず、これが漁獲枠を超えた過剰漁獲を生む大きな要因とされてきた。

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新たな「資源回復計画」によると、域内で操業する巻き網漁船はすべて当局による監視の対象となり(これまでは全体の約20%にあたる大型漁船のみ)、畜養事業者は捕獲したマグロを巻き網から生簀に移す作業をすべて録画し、当局の調査で捕獲したマグロの個体数または総重量が事業者の申告より10%以上多いことが判明した場合、過剰分を再放流することが義務づけられる。また、巻き網漁の解禁期間は従来の2カ月から1カ月に短縮され、今年は5月15日-6月15日に限って操業が認められる。

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