2012/5/28

環境・通信・その他

エネ集約型産業への補助ルール導入、排出量取引のコスト増に対応

この記事の要約

欧州委員会は22日、EU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期がスタートする2013年以降の制度改正に伴う域内企業のコスト負担を軽減するため、加盟国がエネルギー集約型産業に対して助成を行う際の条件を定めた国家補助ルールを […]

欧州委員会は22日、EU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期がスタートする2013年以降の制度改正に伴う域内企業のコスト負担を軽減するため、加盟国がエネルギー集約型産業に対して助成を行う際の条件を定めた国家補助ルールを発表した。新制度では排出枠の削減やオークション方式による排出割当への移行に伴い、電力会社がコスト上昇分を電気料金に転嫁することは避けられず、EU-ETS対象事業者は新たなコスト負担を強いられることになる。こうした「間接的な排出コスト」の影響を最小限に抑えるため、電力を大量に消費する鉄鋼、アルミ、製紙、化学、肥料などのセクターを対象に、各国政府が共通ルールに沿って補助金を拠出できる仕組みを整え、域内市場における公正な競争を維持しながら低炭素経済への転換を推進する。

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欧州委のアルムニア委員(競争政策担当)は新ルールについて、「EU-ETSの制度改正に伴う新たなコスト負担を回避するため、厳しい国際競争下にある産業分野でEUより規制の緩い第3国に生産拠点を移す『カーボンリーケージ』が現実に起きれば、世界規模で温室効果ガスを削減するという本来の目的が損なわれることになる。新たな国家補助ルールを導入することで、加盟国は排出削減のインセンティブと公正な競争を維持しながらこうした問題に対処することができる」と説明している。

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欧州委はEU統計局のデータや関係する各方面との協議に基づき、特にカーボンリーケージのリスクが高いセクターを特定し、厳しい財政状況の中で加盟国が秩序に従って効果的に支援を行うためのルール作りを進めてきた。指針によると、加盟国は対象となる各セクターで最も高いエネルギー効率を実現している企業を基準として、13-15年は電力料金の値上げによるコスト上昇分の最大85%を補助することができる。補助金の上限は段階的に引き下げられ、19-20年には最大75%に抑えられる。一方、20年までに建設される二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)技術を実装した火力発電所に関しては、投資額の最大15%を公的資金で賄うことが認められる。

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