2012/6/18

産業・貿易

女性役員の登用義務化、10月に法案提出へ=独紙

この記事の要約

欧州委員会は域内の上場企業を対象に、2020年までに女性役員の比率を40%以上とすることを義務づける法案の策定を進めているもようだ。独経済紙ハンデルスブラットが13日、複数のEU関係者の話として報じた。同紙は10月にも法 […]

欧州委員会は域内の上場企業を対象に、2020年までに女性役員の比率を40%以上とすることを義務づける法案の策定を進めているもようだ。独経済紙ハンデルスブラットが13日、複数のEU関係者の話として報じた。同紙は10月にも法案が提出されるとの見通しを示している。ただ、女性役員の登用を義務づける法律の導入には産業界からの反発が予想されるほか、ドイツなど一部の加盟国も難色を示しており、法制化に向けた調整は難航が予想される。

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欧州委のレディング副委員長(司法・基本権・市民権担当)は昨年3月、EU主要国の企業関係者を集めた会合で、域内企業における女性役員の比率を15年までに30%、20年までに40%に引き上げるための「自主的な取り組み」を要請。1年が経過した時点で目標の達成度が低い場合、一定以上の女性役員の登用を義務づけるルールの導入を検討する方針を表明した。同副委員長は今年3月、企業側の取り組みが不十分との調査結果をまとめ、3カ月にわたる意見聴取を経て法制化の是非について最終決定すると発表していた。

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欧州ではノルウェーが2003年、上場企業を対象に役員の40%を女性にする「割当制度」を初めて導入し(当時の女性比率は7%)、5年後に目標を達成している。EU諸国ではこれまでにベルギー、フランス、イタリア、オランダ、スペインで女性役員割当制度が導入され、デンマーク、フィンランド、オーストリア、ギリシャ、スロベニアでは国営企業に限って同ルールが適用されている。

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欧州委によると、女性役員の比率を欧州委の掲げる目標まで引き上げることを確約した企業は、今年3月までの1年間にEU全体でわずか24社にとどまった。域内の上場企業における女性役員の比率(3月時点)は平均13.7%。2010年の11.8%からは1.9ポイント改善したものの、特に南欧や東欧諸国で女性比率が低くなっている。欧州委は現在のペースで推移した場合、女性役員の比率を40%まで引き上げるという目標の達成には40年以上かかると警告している。

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