2012/6/18

環境・通信・その他

魚投棄を18年までに全面禁止=農業・漁業理事会で合意

この記事の要約

EU農業・漁業理事会は12日、漁業者がいったん漁獲した水産資源の投棄を段階的に禁止することで合意した。環境・経済・社会面で持続可能な漁業を実現することを目指した共通漁業政策(CFP)改革の一環として、水産資源の浪費による […]

EU農業・漁業理事会は12日、漁業者がいったん漁獲した水産資源の投棄を段階的に禁止することで合意した。環境・経済・社会面で持続可能な漁業を実現することを目指した共通漁業政策(CFP)改革の一環として、水産資源の浪費による資源枯渇を防止するのが狙い。

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CFPが漁船に対して定めている割当量は、漁獲量ではなく水揚げ量を規制している。割当量以上の魚を漁港に持ち帰らない限り操業は制限されないため、食用になる魚が大量に投棄され水産資源の枯渇につながりかねないと懸念されている。そこで欧州委員会は昨年7月、CFPの改革案を発表。漁獲物を水揚げせずに海に投棄する行為を2016年までに全面禁止するほか、15年までに水産資源を減らすことなく漁獲量を最大化する「最大維持可能漁獲量(MSY)」を確保することなどを提案した。しかしこの提案にはフランスやスペインなどが反発。今回の理事会で合意された妥協案は、海洋投棄をサバとニシンについては14年1月1日まで、タラ、ツノカレイ、シタビラメなどについては18年1月1日までに全面禁止とし、MSYの達成を20年までに先送りするという、欧州委の提案から大きく後退した内容となった。

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欧州委のダマナキ委員(漁業・海事担当)は理事会合意について、「委員会の提案はより野心的だった」としながらも、「これほど多くの意見の相違があったなかで合意できたことはひとつの成果だ」と評価するコメントを発表した。一方、環境団体からは失望の声があがっている。グリーンピースの活動家、マッケンジー氏は、「数十年にわたる劣悪な漁業管理によって水産資源を破壊したうえ、EUの閣僚たちは漁業管理制度を刷新するという公約を果たすことに失敗した」と厳しく批判した。

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