2012/6/25

総合 –EUウオッチャー

1300億ユーロの成長戦略推進、ユーロ圏4大国首脳が合意

この記事の要約

ユーロ圏4大国のドイツ、フランス、イタリア、スペインは22日、ローマで首脳会談を開き、低迷する欧州経済を支えるため、域内総生産(GDP)の1%に相当する1,300億ユーロ規模の成長・雇用戦略を推進することで合意した。28 […]

ユーロ圏4大国のドイツ、フランス、イタリア、スペインは22日、ローマで首脳会談を開き、低迷する欧州経済を支えるため、域内総生産(GDP)の1%に相当する1,300億ユーロ規模の成長・雇用戦略を推進することで合意した。28、29日に開かれるEU首脳会議で提案する。

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今回の4カ国首脳会談は、EU首脳会議に向けた地ならしとして、伊モンティ首相の主導で開かれたもの。成長・雇用戦略の具体的方策や、1,300億ユーロの資金の調達法など詳細は決まっていないものの、欧州投資銀行(EIB)の増資、EU補助金の活用強化、民間企業によるインフラ投資を促進するための「プロジェクト債」発行などを想定している。

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ユーロ圏では信用不安の発端となったギリシャで、EUなどに約束した財政緊縮策の継続を唱える新政権が発足し、同国のユーロ離脱という最悪の事態がとりあえず回避されたものの、銀行の不良債権問題に悩むスペインが25日にEUへ金融支援を正式要請する状況に追い込まれるなど、債務危機から脱け出ていない。このため、重債務国を中心とする財政緊縮が引き続き基本路線となるが、緊縮策だけでは景気のさらなる縮小を招くだけで、財政は改善しないとの声が強まっている。

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ただ、ユーロ圏主要国では、フランスが新政権になって緊縮緩和・成長促進へと舵を切った一方で、ドイツはばらまきによる景気対策に消極的。月末の首脳会議では成長・雇用促進策が主要議題となるが、このままでは進展がなく、市場の失望感を招いて信用不安が増幅する恐れがあることから、事前に4カ国がすり合わせを行った。1,300億ユーロ投入での合意は、独メルケル首相が緊縮一辺倒の姿勢を和らげ、仏オランド大統領に歩み寄った格好。メルケル首相は記者団に「成長と金融の安定は表裏一体だ」と述べ、成長戦略推進への理解を示した。

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4カ国首脳会談では、EU域内共通の金融取引税導入を目指すことでも合意した。一また、国債利回りが急上昇して単独での資金調達が困難となっている国を支援するため、ユーロ圏17カ国が共同で債券を発行する「ユーロ共同債」構想についても協議したが、ドイツが慎重な姿勢を崩さず、合意に至らなかった。

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