2012/7/16

環境・通信・その他

森林火災や砂漠化が大気汚染を助長、EEAが自然由来物質の影響を分析

この記事の要約

欧州環境庁(EEA)は11日、火山灰や砂じんなど自然由来の粒子状物質が大気質に及ぼす影響を分析した初の調査リポートを公表した。気候変動に起因する森林火災や砂漠化現象などにより、スペインをはじめとする地中海沿岸国で粒子状物 […]

欧州環境庁(EEA)は11日、火山灰や砂じんなど自然由来の粒子状物質が大気質に及ぼす影響を分析した初の調査リポートを公表した。気候変動に起因する森林火災や砂漠化現象などにより、スペインをはじめとする地中海沿岸国で粒子状物質に関するEUの環境基準を達成することが困難な状況にあることが今回の調査で明らかになった。

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EUは「大気質枠組み指令」に基づいてさまざまな汚染物質を規制しているが、自然由来の物質は規制の対象から除外されているため、実際には粒子状物質の濃度が規制値を超えているケースが少なくない。EEAは頻発する森林火災、イベリア半島の砂漠化、火山噴火、海塩粒子などが環境大気質とEU市民の健康にどのような影響を及ぼしているかを探るため、加盟国から提出された2008年-09年のデータを基に、初の本格的な調査を実施した。

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EEAによると、火山灰や砂じんなどと異なり、森林火災のおよそ90%は人為的要因によって発生するが、風向きによって近隣諸国にばい煙が到達した場合は自然由来の粒子状物質に分類される。リポートによると、自然由来の粒子状物質による大気汚染が最も深刻なのはスペインで、EUの基準値を超えている42の汚染物質のうち自然由来の物質が18に上る。このほか英国、フランス、ドイツを含む10カ国で自然由来の物質が粒子状物質の濃度を押し上げており、スペインと同様、イタリア、ギリシャ、キプロスなど地中海沿岸国で大気質への影響が深刻化している。

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EEAのマクグレード理事は「自然由来の物質による大気汚染をコントロールすることは本質的に不可能だが、自然由来と人為的な汚染物質の蓄積がEU市民の健康被害を引き起こしていることから、規制当局は制御可能な汚染をできる限り取り除くための取り組みを強化する必要がある」と指摘している。

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