EUは23日に開いた外相理事会で、シリアに対する武器禁輸措置の強化など、制裁の拡大を決定した。加盟国には25日以降、域内を通過して同国に向かう貨物のうち、武器または軍事転用可能な物資の可能性が疑われるものについて、検査を行うことが義務付けられる。
\EUはこのほか、制裁対象リストに軍当局者など26人と、3団体を追加した。EUへの渡航禁止と資産凍結が課される制裁対象者はこれで、合計129人と49団体となった。このほか、シリア国営航空によるEU域内の空港の使用も禁止した(領空通過や緊急着陸は容認)。
\新たな制裁措置により、EUはアサド政権による反体制派の弾圧に歯止めをかけたい考えだが、武器の流入を制限できたとしても、同国が保有する兵器は主に旧ソ連諸国およびロシア製で、今回の措置が政権側にどれだけの影響をもたらすかは不明だ。シリア政府が反体制派への攻撃に化学兵器を使用する可能性も指摘されており、国際社会では懸念が高まっている。
\同日の外相理事会では、アサド政権の崩壊は避けられないとして、その後のシリア支援に関する協議を始めるべきだとの声も上がった。シリア国内では食料や燃料が不足し、国民生活は大きな打撃を受けている。隣国のトルコ、レバノン、ヨルダン、イラクなど国外に避難した人は11万3,000人を超えたとみられる。また、シリアに避難していたパレスチナ難民50万人や、イラクからの避難民8万7,000人も、雇用機会の喪失や現地通貨の下落、インフレなどで生活状況が大幅に悪化しており、国際社会による支援の強化が求められている。
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