2012/8/6

総合 –EUウオッチャー

スペインがEUへの財政支援要請を検討、国債利回り上昇で

この記事の要約

EUから国内銀行を救済するための金融支援を取り付けたスペインが、財政支援の要請も検討し始めた。国債の利回りが高水準にあり、国債償還資金の調達が困難となってきているためで、政府は欧州中央銀行(ECB)の動きをにらみながら対 […]

EUから国内銀行を救済するための金融支援を取り付けたスペインが、財政支援の要請も検討し始めた。国債の利回りが高水準にあり、国債償還資金の調達が困難となってきているためで、政府は欧州中央銀行(ECB)の動きをにらみながら対応を検討する。

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スペインは債務危機に直面しながらも、ギリシャなどのような深刻な信用不安には至っておらず、国債発行で資金を調達できる状況にある。EUは「欧州金融安定基金(EFSF)」、「欧州安定メカニズム(ESM)」を通じて最大1,000億ユーロの支援実施を決めたが、これは不動産バブル崩壊で巨額の不良債権を抱え込んだスペインの銀行を救済するためのものだ。

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しかし、このところ指標となる10年物国債の利回りが危険水域とされる7%台で推移しており、国債償還向け資金調達のコストが増大。このままでは資金繰りが行き詰まる恐れが出ている。

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EUは6月末の首脳会議で、EFSFとESMが重債務国の国債を購入できるようにすることで合意したが、ユーロ圏17カ国の銀行監督を一元化することが前提。一元化の実現には時間がかかるため、スペインは当面、同制度に頼ることはできない。ECBのドラギ総裁は2日、スペインなどの支援に向けた「非従来型」の危機対策を数週間以内にまとめる方針を打ち出したものの、予想されていた即時の国債購入再開を否定。同措置はEFSFとESMによる国債購入開始と合わせて実施する意向を示したことから、スペインにとっては期待はずれとなった。

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スペインとしては、EFSF、ESMによる財政支援は、追加緊縮策の導入など厳しい条件が付くことから、極力避けたいところだ。しかし、ラホイ首相は3日の閣議後の記者会見で、「スペイン国民のためになることなら、何でもするつもりだ」と述べ、必要に応じて財政支援を要請することを示唆。ECBが打ち出す対策の内容を見極めた上で「対応を決定する」と述べた。

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