2012/8/20

総合 –EUウオッチャー

今年の財政赤字、目標上振れ=伊財務相が見通し

この記事の要約

イタリアのグリリ財務相は12日付けの日刊紙『レプブリカ』に掲載されたインタビューで、同国経済が予想以上に低迷しているため、今年の財政赤字が目標より膨らむとの見通しを明らかにした。ただ、EUが求めている基準は達成できるとし […]

イタリアのグリリ財務相は12日付けの日刊紙『レプブリカ』に掲載されたインタビューで、同国経済が予想以上に低迷しているため、今年の財政赤字が目標より膨らむとの見通しを明らかにした。ただ、EUが求めている基準は達成できるとして、追加的な支出削減は行わない考えを示した。

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同財務相は、「名目的な赤字が悪化すると認識している」と語ったうえで、政府が重視しているのは構造的な赤字であり、「この点に関して言えば順調だ」と強調した。EUはイタリアに対し、2013年までに成長率を調整した構造的な財政収支を黒字にするよう求めている。一方、名目上の財政赤字目標は、対国内総生産(GDP)比で今年は1.7%、13年は0.5%、14年は0.1%に設定されている。

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伊国家統計局(ISTAT)が先ごろ発表した今年第2四半期のGDP(速報値)は前期比で0.7%減少し、4四半期連続のマイナス成長となった。政府は今年のGDP成長率をマイナス1.2%と予想しているが、雇用者団体のコンフィンドゥストリアはマイナス2.4%と、より悲観的な見方を示している。

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伊下院は今月7日、2012~14年の3年間に総額260億ユーロの歳出を削減するための関連法を承認した。政府は景気への影響に配慮して10月に予定していた付加価値税(VAT)引き上げを来年7月に先送りする一方で、公務員の削減や医療支出の抑制によって財政の引き締めを図る。歳出削減の規模は12年に45億ユーロ、13年に105億ユーロ、14年に110億ユーロとなる見通しだ。

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