2012/8/20

競争法

マスターカードが欧州裁に控訴、国際決済手数料問題で

この記事の要約

クレジットカード大手のマスターカードはこのほど、同社が欧州で徴収している国際決済手数料「マルチラテラル・インターチェンジ・フィー」(MIF)がEU競争法に違反すると判断した欧州委員会の決定を不服として、欧州司法裁判所に控 […]

クレジットカード大手のマスターカードはこのほど、同社が欧州で徴収している国際決済手数料「マルチラテラル・インターチェンジ・フィー」(MIF)がEU競争法に違反すると判断した欧州委員会の決定を不服として、欧州司法裁判所に控訴した。

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MIFは越境的なクレジットカードやデビットカード取引の処理及び決済に関連して銀行間で課される手数料で、加盟店銀行(加盟店での取引を処理する銀行)からカード発行銀行に支払われる。欧州委員会は2007年、MIFについて事実上加盟店が加盟店銀行へ支払う最低価格を形成し、反競争的取決めを禁止する旧EC条約第81条に違反するとの判断を下し、マスターカードに対し前事業年度における1日当たりの全世界売上高の3.5%に相当する制裁金の支払を命じた。同社は制裁金の支払いを回避するため09年にMIFを引き下げる一方で、MIFは効率的なカード支払ネットワーク維持のため必要不可欠であるとして、欧州普通裁判所に欧州委の決定を無効とするよう求める訴えを起こした。しかし普通裁は今年5月に欧州委の決定を支持し、マスターカードの訴えを棄却。このため同社は欧州司法裁への控訴に踏み切った。

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マスターカード・ヨーロッパは声明で、「今回のケースから生じた法的問題は、カード決済スキームを将来にわたって発展させ、欧州において最も先進的な電子決済ソリューションを継続的に提供するうえで重要な意味を持つ」とコメントしている。

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