2012/8/27

欧州ビジネスウオッチ

ティッセンクルップ、鋼板子会社を売却か

この記事の要約

独鉄鋼大手のティッセンクルップが自動車鋼板子会社テーラード・ブランクスを中国の武漢鉄鋼に売却する方向で交渉しているもようだ。23日付のファイナンシャル・タイムズが報じたもので、交渉はすでに最終段階にあるという。ティッセン […]

独鉄鋼大手のティッセンクルップが自動車鋼板子会社テーラード・ブランクスを中国の武漢鉄鋼に売却する方向で交渉しているもようだ。23日付のファイナンシャル・タイムズが報じたもので、交渉はすでに最終段階にあるという。ティッセンクルップは売却交渉先を伏せているものの、ロイター通信も消息筋の情報として武漢鉄鋼だと伝えた。

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テーラード・ブランクスは厚さや材質の異なる複数の鋼板を溶接して1枚にまとめた薄板(テーラード・ブランク)の世界最大手メーカー。フォルクスワーゲン(VW)やフォードを顧客に持ち、2009年9月期の欧州売上では55%をVWとの取引が占めた。従業員数は約900人、売上高は7億ユーロ。主に独デュースブルク工場で生産している。

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武漢鉄鋼は中国3位、世界5位の鉄鋼メーカーで、生産高は3,800万トン、売上高は156億ドルに上る。欧州鉄鋼市場は戦略的に重要なため、テーラード・ブランクスを買収し欧州に生産拠点を確保。本格的な市場開拓に乗り出す。

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中国企業への子会社売却は取引先メーカーが持つ技術の流出につながる恐れがあるため、武漢鉄鋼への売却交渉には顧客の自動車メーカーも関与しているという。

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先進国の自動車メーカーは近年、テーラード・ブランクの代わりに溶接を施さない鋼板や他の素材を利用するようになっている。また、新しいプラットフォームコンセプトの登場により、テーラード・ブランクを必要としなくなっている。

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ティッセンクルップはこうした事情を踏まえて昨年、テーラード・ブランクスの売却方針を打ち出した。テーラード・ブランクは新興国では今後も旺盛な需要が見込めるという。

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