2012/9/10

産業・貿易

中国製太陽光パネルへの反ダンピング調査開始、通商摩擦激化へ

この記事の要約

欧州委員会は6日、中国製の太陽光パネル及び部品に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始したと発表した。EUが中国から輸入する太陽光パネルや、太陽電池など部品は年間約210億ユーロ(2011年)に上り、EUにとって史上最 […]

欧州委員会は6日、中国製の太陽光パネル及び部品に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始したと発表した。EUが中国から輸入する太陽光パネルや、太陽電池など部品は年間約210億ユーロ(2011年)に上り、EUにとって史上最大規模の反ダンピング問題となる。

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欧州で太陽光パネルを生産する20社以上が加盟する業界団体の「EUプロサン」は7月、中国の太陽光パネルメーカーが公的補助を後ろ盾にして、製品をEUに不当な廉価で輸出し、域内の業界に大きな打撃を与えているとして、欧州委に反ダンピング調査の実施を要請していた。

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これに対してダンピングを否定する中国政府は、話し合いによる問題解決を求め、中国との貿易摩擦激化を懸念するドイツのメルケル首相も同調していた。しかし、欧州委はEUプロサンの要請を受け入れ、ダンピングが行われているかどうかを正式に調査することを決めた。

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欧州委は最長15カ月をかけて反ダンピング調査を実施する。その結果、ダンピングの事実が確認されれば、中国製品に反ダンピング関税を科す。また、調査開始から9カ月以内に、ダンピングを行っていることが明白と判断した場合は、暫定的な反ダンピング関税を適用することもできる。

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欧州委によると、中国は世界最大の太陽光パネル生産国で、世界全体で65%のシェアを持つ。輸出の80%がEU向けとなっている。

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今回の問題をめぐっては、中国側が対抗措置として、EUの多結晶シリコンメーカーに対する反ダンピング調査を開始する構えを示していた。EUが調査開始に踏み切ったことで、中国との通商摩擦が激化するのは避けられない情勢だ。

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